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【シンガポール駐在員 外山 高士 1月20日発】フィリピン政府は、世界貿易 機関(WTO)合意に基づく、畜産物などの2000年のミニマムアクセス数量( MAV)を公表した。これによると、豚肉は99年の40,955トンから2,41 0トン増えて43,365トン、鶏肉は17,000トンから18,790トン、ト ウモロコシは150,000トンから173,500トンと、各品目とも前年を上回 る数量となっている。 同国においては、急速な経済発展に伴い消費が拡大し、95年の豚肉と鶏肉の1 人当たりの消費量は、それぞれ14.2kgと5.8kgとなっており、92年の 13.1kgと5.5kgから増加傾向で推移している。しかし、97年後半に発 生した通貨危機による経済の停滞により、収入の減少や輸入品を中心とする物価の 上昇などの影響を受け、需要が伸び悩む状況となっていた。また、トウモロコシに ついては、98年に発生したエルニーニョ現象など異常気象の影響により生産量が 急減し、これまで国産で賄っていたものが大幅に不足する事態となったことから、 98年には14万5千トンのMAV枠のほかに、30万トンの低関税率による追加 輸入枠を設置する状況となっていた。 99年においては、鶏肉などの消費に回復傾向が見られた一方で、国産鶏肉の価 格が上昇していたことから、一部の業者が、免税により輸入した鶏肉などを、販売 の禁止されている一般のスーパーマーケットなどで安価に販売したため、国内生産 に影響が出ており、99年第3四半期までで前年同期比1.4%減となっている。 なお、このような背景から、現在は肉類の免税輸入が禁止されている。また、トウ モロコシについては、98年が不作であったものの、99年第3四半期までで前年 同期比30%増と、近年にない豊作であったといわれているが、回復しつつある畜 産物の生産に見合うまでの生産量には至っていない。このため、農業省によると、 99年において、鶏肉とトウモロコシについてMAV枠を超える輸入がされている とのことである。 このような状況の中、アンガラ農務長官を議長とするミニマムアクセス数量管理 委員会(MMC)では、このトウモロコシの枠のみでは、回復の見られる国内需要 を満たすことができないとして、さらに15万1千トン程度の低関税率での追加輸 入枠を設置することを検討している。農務長官によると、約5万トンの輸入が、す ぐにでも必要な状況であることから、2000年3月までに5万1千トン、年末ま での期間で約10万トンの追加枠が必要であるとみられているとのことである。な お、MMCでは具体的な数量を検討の後、追加輸入枠について国会に要請すること としている。
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