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カナダ、農家セーフティネットの新たな枠組みに合意
【ワシントン駐在員 樋口 英俊 7月6日発】カナダの連邦および各州農業大臣 は7月5日、今後3年間の農家セーフティネットの新たな枠組みについて合意した。 カナダの農家セーフティネットは、97年から99年までの3年間、主として@純所 得安定口座(NISA:連邦、州政府、生産者が生産者の個人口座に農産物販売額 の一定割合を積み立て、所得減少時に当該口座から所得補てんを行うもの)、A作 物保険、Bこれらを補完する各州ごとの付帯制度という枠組みで実施されてきた。 今回の見直しでは、これらに加えて98年から2年間の時限措置として実施されて きた農業所得災害支援対策(AIDA:今回の合意に基づき、カナダ農家所得対策 (CFIP)と改称予定)がセーフティネットの柱の1つとして正式に盛り込まれ ることとなった。AIDAは農産物の価格低迷や自然災害による農家収入の減少に 対処するため講じられたもので、当該年度における生産者の所得(グロス・マージ ン)が直近3年間の平均の70%を下回った場合、その差額を補てんするもの。 バンクリフ連邦農業・農産食料大臣は今回の合意について、カナダの生産者が望 んできた所得災害支援対策を含む包括的な農家セーフティネットを実現した「歴史 的な合意」とし、満足の意を表すとともに、カナダの生産者に将来の計画を立てる 上で必要な安定と保障を与えるものと語った。 NISAについては、生産者のニーズにより適切に対応できるよう改善を加える こと、また、より直接的な形で所得災害支援対策に組み込んでいくことが予定され ているが、具体的な方法は今後の検討課題となっている。 予算の枠組みについては、3月23日に連邦および各州農業大臣間で結ばれた今後 3年間のセーフティネットの運用に関する暫定合意に基づき、3年間の合計で55億 カナダドル(約4,125億円:1カナダドル=約75円)が計上され、うち連邦政府が 6割の33億カナダドル(約2,475億円)、州政府が4割の22億カナダドル(約1,650 億円)を負担することとされている。 連邦政府による毎年の支出内訳は、既存のNISA、作物保険および州ごとの付帯制 度などに6億6千5百万カナダドル(約499億円)、所得災害支援対策に4億3千 5百万カナダドル(約326億円)が見込まれている。既存の制度についての州別配 分は、一部の州を除き、それぞれの農業規模に応じて行われ、99年の交付実績を下 回らないこととされている。 一方、所得災害支援対策については、居住する州を問わず、当該対策の必要な生 産者が対象になるとしている。今後、資格要件などの制度の運用が検討されるが、 資金不足が懸念されている99年のAIDAで適用されたルールよりも、厳格なもの になるとの見方もされている。
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