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ブラジル、供給過剰によりブロイラー生産者価格が低下



【ブエノスアイレス駐在員  玉井 明雄 6月1日発】全国食糧公社(CONAB)に
よると、2000年1月以降、ブラジルの主要生産州におけるブロイラー生産者価格
は、供給過剰により低下している。

  ブラジルの99年の鶏肉生産量は、同年1月の通貨切下げによる輸出競争力の強
まりなどを背景に、552万6千トン(骨付きベース)と、前年を13.9%上回って
推移した。また、国内消費も、99年の1人当たりの鶏肉消費量が、前年比10.7%
増の29.0sとなるなど、堅調に推移した。しかし、今年に入ると、需要が減退す
る一方で、ブラジル産の鶏肉輸出価格の低下により、大手処理加工業者が国内市
場への販売を強化したことなどから国内供給量が増加し、ブロイラー生産者価格
が低下した。

 ブロイラー主要生産州における1s当たりの生産者価格の推移を見ると、サン
パウロ州では、99年1〜10月の平均価格は0.84レアル(約50円:1レアル=約59
円)であったが、11月に上昇し、12月には1.09レアル(約64円)となった。要因
として、輸出量の増加、年末需要の増加などが挙げられ、トウモロコシ価格の上
昇による生産コスト増加分の生産者価格への転化も可能であったとみられる。し
かし、需要が減退した1月以降、価格は低下し始め、3月は0.70レアル(約41円)
、4月には、0.56レアル(約33円)と前年同月比を31%下回った。5月初めには、
輸送業者が高速道路料金の値下げを要求し、ストライキを行ったことなどから、
一時期0.89レアル(約53円)まで価格が上昇したものの、ストライキが終息し、
ブロイラーの流通が平常に戻った5月第3週には、0.54レアル(約32円)となっ
た。

 また、他の主要生産州である南部3州(パラナ州、サンタカタリナ州、リオグ
ランデドスル州)における4月の生産者価格は、前月比3%安であったのに対し、
サンパウロ州は、前月比20%安と価格低下が著しい。CONABでは、通常、南
部の余剰分は、国内最大の消費地であるサンパウロ州へ向けられるため、供給過
剰の時期においては、サンパウロ市場価格への影響が大きいとしている。

 ブラジル鶏肉業界では、供給過剰がもたらす価格低下を避けるために、生産調整
の話し合いが続けられてきた。ブラジル養鶏連盟(UBA)の統計によれば、2000
年1〜4月の種鶏羽数は、前年同期比で1.3%減の905万羽、月別に見ると、1・2
月はそれぞれ前年同月を上回ったが、3月は3.3%、4月は20%下回っている。

 しかし、鶏肉用ヒナ生産者協会(APINCO)は、大手処理加工業者によるイ
ンテグレーションが進んでいる南部については種鶏羽数に増加傾向が見られること
などから、生産者価格の低下やトウモロコシ価格の上昇によるコスト高といった重
圧に耐え切れない独立系の養鶏農家や中小処理加工業者が、生産量の減少を余儀な
くされる一方、インテグレーションによる生産を行う大手処理加工業者の投資は継
続していると見ている。


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