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米国、新たな食生活ガイドラインを公表



【ワシントン駐在員  渡辺 裕一郎 6月1日発】クリントン大統領は5月27日、
定例のラジオ演説の中で、新たな「国民のための食生活ガイドライン」を同日付け
で公表したと述べるとともに、近く食肉・家きん肉製品についても、栄養成分表示
を義務付ける提案を行う予定であることを明らかにした。

  米国では、肥満と心臓病やある種のがんといった慢性疾病との因果関係が指摘さ
れている中で、今や成人の3人に1人が太りすぎとみられており、また、国民の約
9割が不健康な食生活を送っているとされている。

  本ガイドラインは、食生活の改善を図るための情報提供やアドバイスを行うこと
により、国民の健康増進や慢性疾病の予防に資することを目的としており、連邦政
府による学校給食プログラムをはじめとする食料・栄養政策も、そこに示された方
向に沿って実施されている。米農務省(USDA)と保健社会福祉省(HHS)は、
栄養学や医学の専門家グループからの勧告に基づき、5年ごとにガイドラインの見
直しを行っており、今回が第5次の改訂となる。また、これと併せて、5月30日か
ら2日間、両省の主催による全国栄養サミットが31年ぶりに開催され、食生活や健
康などに関するさまざまなディスカッションも行われた。

  今回のガイドラインも、品目ごとの摂取バランスを図示したフード・ガイド・ピ
ラミッドをはじめ、前回の95年ガイドラインで示された方向を基本的に踏襲するも
のであるが、健康な生活を送るためには、単なる体重管理だけでなく、日ごろの習
慣的な運動が重要であることを改めて強調している。さらに、今回初めて食品の安
全性確保の観点から、食品ごとの温度管理の指標など、家庭での調理・保存方法な
どに関すアドバイスも加えられている。

 また、慢性疾病の予防の観点からは、飽和脂肪酸とコレステロールの含有量が少
ない食事を取るとともに、全脂肪摂取量も適正な水準(注:前回ガイドラインと同
様、摂取カロリーの30%以内)とすることとされている。特に、前者に関しては、
@バター、ラードといった固形状の脂肪の摂取を控え、代わりに植物油を用いるこ
と、A無脂肪または低脂肪の乳製品、調理済み乾燥豆、魚、赤身肉および家きん肉
を選ぶこと、B毎日、穀類や野菜・果実を十分に取ること、C脂肪、飽和脂肪酸お
よびコレステロールの含有量が少ない食品の選択に資するため、栄養成分表示を利
用することがアドバイスされている。

 今回のガイドラインによって示された方向に沿って、USDAは、食肉・家きん
肉(ひき肉製品や精肉など)についても、脂肪、熱量(カロリー)、コレステロー
ルといった栄養成分に関する表示を小売段階で行うことを義務付けることとし、今
年の夏終わりごろまでに、関連規則案を公表することを明らかにした。既に、ベー
コンなどの加工品については表示が義務付けられているが、今回の産品については、
小売業者の自主表示となっており、これを実際に行っている業者は6割にも満たな
いとされている。

 なお、このような栄養成分に関する義務表示制度の導入について、全国肉牛生産
者・牛肉協会(NCBA)は、「食肉には(その摂取不足が問題となっている)鉄
分や亜鉛も含まれているということを消費者に理解してもらえる」とコメントする
にとどめている。
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