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EU科学委、人畜共通伝染病の監視強化を提言



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 6月8日発】EUの公衆衛生に関する獣医政策
科学委員会は、5月26日、食物連鎖における人畜共通伝染病の防除についての見解
を発表した。

 その中で、現状の人畜共通伝染病およびその病原体の監視・調査体制は、国ごと
にまちまちで不十分であり、人畜共通伝染病の増加傾向に歯止めをかけるためには、
改正が必要であると提言した。同改正の目的としては、@家畜と食品の疫学的な動
向の把握、A各加盟国における人の真の発病率の推定、B加盟国間でデータの比較
を可能とすること、C人での発病の早期発見を挙げている。

 そのほか、各国の関係者(医療・獣医・食品・飼料)間の協力、食物連鎖の各段
階における疾病防除体制の改善、食品衛生管理者の研修など、より厳格な対策が必
要と提言した。

 また、死亡および健康被害に加え経済的な損失も考慮し、EUにおける公衆衛生
上の重要疾病として以下の病原体を認定した。

1 サルモネラ菌
  (Salmonella sp.)
2 カンピロバクター
 (Campylobacter sp.)
3 ベロ毒素原性大腸菌
 (verotoxigenic Escherichia coli) 
4 リステリア菌
 (Listeria monocytogenes)
5 クリプトスポリジウム
 (Cryptosporidium sp.)
6 エキノコッカス
 (Echinococcus granulosus / multilocularis)
7 旋毛虫
 (Trichinella spiralis)

 この見解に関し、EU委員会のバーン公衆衛生/消費者保護担当委員は、次のよ
うに述べた。

 「加盟国における監視・調査の改善がより良い疾病防除のカギとなるという見解
には全く同感である。また、我々も、リステリア症およびサルモネラ症について既
に対策を準備中である。食品安全白書の中の法令アクションプランにおいて、農場
から食卓までのすべての食物連鎖に及ぶ一貫した監視・防除体制を2002年までに整
備することとしている。

 食品由来のリステリア症を減少させる方策については、近いうちに委員会決定案
が検討される予定である。さらに、食品安全白書で発表したようにこの夏には特定
人畜伝染病の防止対策に関する理事会指令(92/117/EEC)を改正する2つの提案
を行うこととしている。改正目的は、最重要疾病について監視・報告を義務付ける
ことおよび危険低減方策の枠組みの創設である。まず、現在のサルモネラ症対策を
強化し、監視対象を繁殖用鶏から肉・卵生産用鶏まで拡大する予定である。また、
近い将来には、豚および七面鳥生産におけるサルモネラ症防除対策としても活用す
べきである。

 他の重要な対策として白書で発表したものは、本年6月を目途に予定されている
食品衛生に関する規則の提案で、食品安全の目的と危害分析重要管理点(HACC
P)原則の枠組みを創設する予定である。本年12月を目途に改正と公的管理の強化
を実施する予定である。」


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