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豪州需給予測、肉牛、酪農ともに明るい見通し



【シドニー駐在員 藤島 博康 3月2日発】豪州農業資源経済局(ABARE)
主催の年次観測会議が2月29日から3日間、首都キャンベラで開催された。肉牛
に関しては、輸出需要の増加などを背景に価格は上昇、酪農に関しては、生乳価格
支持制度廃止による影響が不透明ながらも、生乳生産は中期的には依然拡大基調に
あるなどの見通しが示された。
当会議は毎年同時期に開催され、主要第1次産品ごとに、経済情勢、政策、気象条
件などを総合的に分析した短中期的な需給見通しが示される。

98/99 99/2000f 2004/05f

搾乳牛頭数(千頭)

2,121

2,179

2,267

1頭当たり乳量(リットル)

4,799

4,947

5,108

生乳生産量(千キロリットル)

10,178

10,780

11,579

輸出額(百万豪ドル)

2,257

2,251

2,722

肉用牛頭数(百万頭)

22.7

22.1

22.4

生産量(千トン)

2,011

1,950

2,039

輸出量(千トン)

883

836

893

生体輸出(千頭)

730

844

1,068

繁殖雌豚頭数(千頭)

307

308

315

生産量(千トン)

370

357

385

輸出量(千トン)

16.5

39.7

30.9

注1:fは予測値、頭数は3月末時点、輸出額はインフレ調整後

 2:1豪ドルは約70円

 肉牛部門に関しては、天候要因や、経済回復に伴い韓国や日本への輸出が増加し
つつあることなどを背景に、生産者の増頭意欲は強く、保留傾向が高まることから
肉牛の供給は限定されるとしている。一方で、輸出需要の増加が予想されることか
ら、今後1年をピークに需給は一段と引き締まり、肉牛価格は2002/03年度
まで値上がり傾向にあると予測している。
 97年のアジア経済危機により一度は大きく落ち込んだ生体牛輸出は、2000
/01年度には過去最高を記録した96/97年度を上回り、と畜頭数の12%に
相当する94万4千頭に増加し、2002/03年度には1百万頭の大台を超える
と予測している。このため、今後の牛肉供給に少なからぬ影響を及ぼすとみられる。
 昨年、輸出が急増した豚肉については、これまでの輸出需要を反映し、生産量は
2002/03年には98/99年より10%増となる40万6千トンに達すると
しているが、中期的には減少すると予測している。

 酪農に関しては、今年7月からの加工原料乳の価格支持制度の廃止、また同時に
飲用乳の価格支持制度も廃止される可能性が強いことから、一時的な酪農家戸数の
減少が見込まれている。しかしながら、現在、低水準にある国際乳製品価格が今後、
上向くことにより豪州の生産者乳価も改善する結果、生乳生産量は拡大すると予測
している。
 なお、為替に関しては、2005年には1豪ドルが73米セントまで上昇し、輸
出の抑制要因となるとしながらも、アジアの経済危機にもかかわらず、好調な国内
経済を維持する自信の表われか、一部の品目を除き全般的にわたって明るい見通し
が示された。


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