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USDA、2009年までの農産物需給予測を発表



【ワシントン駐在員 樋口 英俊 3月1日発】米農務省(USDA)は先ごろ、2009
年までの農産物需給予測を発表した。これによれば、当初数年間は、生産過剰や経済危機
によるアジアなどの輸出市場での不振を反映して、大半の農産物価格は低迷するものの、
徐々にこれらの市場の経済が回復することで、農産物需要が拡大することから、長期的に
は、輸出拡大に伴う市場価格の上昇につながると見込んでいる。

 主要畜産物の概要は、以下の通り。

(1)牛肉
 現在、縮小局面にある肉牛飼養頭数は、2003年以降拡大に転じるが、長期の拡大を
継続するほどの収益は得られないため、2005年には再び縮小すると予想されている。
 牛肉生産量は、未経産牛の保留が進むことなどから、2001年までの2年間は減少す
るものの、それ以降は緩やかな増加に転じ、2009年には1千1百万トンにまで回復す
る。輸出量は2002年以降前年を上回って推移し、2009年には130万トンにまで
増加する。なお、米国は、2007年に純輸出国に転じると予想されている。
(2)豚肉
 豚肉生産量は、2000年およびその翌年には、98年および99年前半に生産者の経
営状態が悪かったことを反映して、前年を下回るものの、2002年には拡大に転じて、
2009年には930万トンにまで増加するとしている。増加のペースが比較的緩やかに
なることについて、USDAは、他の食肉との競合や穀物価格の値上がりにより、収益自
体があまり好転しないことを挙げている。
 輸出については、2000年には前年を下回り、54万トンとなるものの、以降、前年
を上回って推移し、2009年には91万トンに達する。また、他の輸出国での環境規制
も米国の輸出にとってプラスになるとしている。
(3)ブロイラー
 ブロイラー生産は、これまでの伸びに比べるとやや緩やかになるものの、生産管理技術
の向上などを背景に、引き続き拡大していくことが予想されており、生産量は99年の1
千3百万トンから2009年には1千8百万トンにまで増加することが見込まれている。
輸出については、アジア向けの回復などで2000年以降は前年を上回って推移し、20
09年には280万トンに達すると予測されている。
(4)酪農
 乳用牛飼養頭数は減少が予想されているにもかかわらず、生乳生産量は、育種改良や生
産管理技術の向上によって、継続的に拡大し、予測の最終年度には8千4百万トンに達す
ると予測している。現在、低迷している生乳価格は、需給調整が進み、2001/02年
度からは、前年を上回って推移するものと見込まれている。

 


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