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【シドニー駐在員 幸田 太 ５月４日発】豪州大手乳業メーカーのボンラック・ フーズ社とニュージーランド・デイリーボード（ＮＺＤＢ）は５月１日、部分的な 事業合併と、ＮＺＤＢがボンラック・フーズ社への出資を行うことで調印したと発 表した。豪州とＮＺが乳業分野で合併するのは、今回が初めての試みとなる。豪州、 ＮＺそれぞれで進められていた乳業再編は、世界市場に焦点を当てたビジネスとし て第一歩を踏み出した。 今回の合併内容は、①豪州の小売りおよびフードサービス向け製品を取り扱うた めの新会社（出資比率各50％）を設立する。②豪州国内でのＮＺＤＢの業務はボン ラック・フーズ社が吸収する。③ＮＺＤＢがボンラック・フーズ社に対し25％出資 し、ボンラック・フーズの組合員（出資者）は、残りの75％を保持するというもの である。 今回の事業合併による新会社は、小売りおよびフードサービス分野での先導的な ブランドとなることが予想される。 ボンラック・フーズ社は、ビクトリア（ＶＩＣ）州を拠点とし、酪農協を母体に 組合員数約3,000人、年間売上高15億豪ドル（975億円：１豪ドル＝65円）。バター やチーズなどの乳製品販売を主力に、製品の輸出を柱としている。 また、ＮＺＤＢは、法律に基づいて乳製品輸出を一元的に行っているＮＺ最大の 乳製品輸出業者である。従業員は9,800人、年間売上高は74億ＮＺドル（4,070億円 ：１ＮＺドル＝55円）。 今年に入りボンラック・フーズ社は、オーストラリアン組合フーズ社との合併を 検討していたが、思惑の不一致により実現していない。ＮＺＤＢにおいては、設立 計画が進められていたメガコープに合併される予定であったが、今年３月末にその 計画がとん挫したため、保留の状態となっていた。 今回の発表に際し、ＮＺＤＢのグラハム議長は「他の産業はすべて国際化されて おり、スーパーマーケットチェーン、製造業者、競争相手は急速に国際化している。 また、小売業も急速に力をつけており、規模も拡大されるだろう。乳製品の製造者 と販売者は協力してこのような状況に立ち向かわなければならない。この合併が両 者を国際競争における強力な担い手にする。」と述べている。 一方、ボンラック・フーズ社は合併調印と同時にリストラ構想を発表した。組合 員への原料乳価格の引き上げを目的とし、ツーラ、ドローウィン、キャンパーダウ ン（ＶＩＣ州）、レジャーウッド（タスマニア州）工場を閉鎖し、工場の集約化と 効率化を推進するというもので、今年９月末までに全体で約300人の人員削減を行 う大規模なものになる。 事業統合、大規模リストラと豪州、ＮＺの乳業界再編は、国境を越えたビジネス として、世界の乳製品市場をにらみながら急展開を見せ始めた。
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