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【シドニー駐在員 幸田 太 5月18日発】豪州とフィリピンの生体牛輸入制限 問題について、政府間の協議が今月25日にマニラで開催されることが決まった。豪 州は、検疫上の問題があるとしてフィリピンからの果実輸入を昨年から禁止してい る。これに対してフィリピン政府は、豪州側の措置を不服とし、報復として今年3 月から生体牛輸入許可を遅らせる措置をとっている。今月に入っても、新たに2隻 のシッピングがキャンセルとなるなど、厳しい状況が続いている。 問題がこじれた原因は、豪州検疫局(AQIS)がフィリピン産の果実(マンゴ ー、バナナ)につく病害虫の処理等を理由に、昨年からこれら果実の輸入を禁止し ているためであり、豪州側は、この問題を解決するためにAQIS駐在員によるフ ィリピン国内の当該果実の生産、加工、流通の実態調査を行った。 一方、フィリピンは、豪州の対応の遅さに業を煮やして、果実とは関係のない生 体牛による報復措置を行った。 フィリピン政府の行動に対し、豪州生体家畜組合は、抗議する考えを示すととも に、政府間協議による問題の解決を求めている。 このため、両国政府は、事態の収拾に向けて、今月25日にマニラで政府間協議を 開催することを決めた。 豪州連邦政府のトラス農相は、今月ダーウィンで開かれたノーザンテリトリー (NT)州家畜生産者組識の年次会議において、「最近問題となっているフィリピ ンへの生体牛輸出について、重要なマーケットであり、連邦政府として早急に解決 したい。」と表明した。 豪州側は、フィリピンに対し、将来の貿易、経済投資もからめて交渉する姿勢を 示している。 豪州の生体牛輸出にとってフィリピンは、99年の全輸出頭数の約32%を占め、そ の出荷額は1億3千万豪ドル(約84億円:1豪ドル=65円)と、名実ともに最大の 出荷先である。 フィリピン向け生体牛の主産地はNT州およびクイーンズランド(QLD)州と なっており、NT州では、州全体の生体牛輸出の65%、QLD州では80%をフィリ ピン向けが占めている。 州別生体牛出荷頭数(99年)
NT | QLD | WA | その他 | 計 | |
フィリピン | 102,921 | 59,344 | 24,351 | 325 | 186,941 |
インドネシア | 19,995 | 22,225 | 42,220 | ||
マレーシア | 11,540 | 26,176 | 37,716 | ||
その他 | 24,347 | 14,727 | 140,323 | 78,283 | 257,680 |
計 | 158,803 | 74,071 | 213,075 | 78,608 | 524,557 |
この問題が、豪州国内の地域経済にとって重要なことはもちろん、アジア諸国と の貿易にも影響する火種となっているため、事態の早期解決を望む声が大きいこと は間違いない。 今月25日の協議の行方が注目されている。
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