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【ブラッセル駐在員 井田 俊二 5月25日発】EU統計局(EUROSTAT)はこの たび、99年11/12月現在のEUにおける牛飼養頭数を公表した。EU全体の牛飼養頭 数は、8,223万頭(前年比▲0.7%)で95年から減少傾向が続いている。この牛飼養頭 数は、世界全体の6.1%に相当する。 牛飼養頭数の内訳は、次の通りである。 (単位:トン)
98年 | 99年 | 前年比 | |
合計(15ヵ国) | 82,785 | 82,230 | ▲0.7 |
1歳未満 | 24,065 | 24,098 | +0.1 |
1〜2歳 | 17,426 | 17,186 | ▲1.4 |
2歳以上 | 41,124 | 40,773 | ▲0.9 |
うち雌 | 39,140 | 38,858 | ▲0.7 |
未経産 | 5,898 | 5,823 | ▲1.3 |
経産 | 33,241 | 33,035 | ▲0.6 |
乳用 | 21,476 | 21,095 | ▲1.8 |
肉用 |
11,765 | 11,940 | +1.5 |
カテゴリー別に見ると、2歳以上の乳用経産牛は、生乳生産クオータ制度の下、牛 1頭当たり生乳生産量が着実に増加しているため長期的に減少が続いている。一方、 2歳以上の肉用経産牛については、97年から前年を上回って推移している。 加盟国別では、アイルランド(同▲5.4%)の減少率が最も大きい。アイルランドは、 近年、加盟国で唯一牛飼養頭数の増加を維持してきたが、99年は、生体牛輸出価格の 回復を背景として、スペイン、イタリア向けをはじめとした生体牛輸出量が大幅に増 加(同+43%)した結果、飼養頭数が減少に転じた。また、ドイツ(同▲3.0%)では、 2歳以上の乳用経産牛(同▲3.9%)の減少が大きかった。一方、スペイン(同+4.0%) をはじめ8加盟国で牛飼養頭数が前年を上回った。 また、同時に公表した2000年の牛と畜見込み頭数については、前年を1.0%(上半期 ▲0.1%、下半期▲1.9%)下回ると見込んでいる。この傾向は、2001年上半期(同▲1.0 %)も続くと見込んでいる。 加盟国別では、ギリシャ(同▲6.4%)、アイルランド(同▲5.9%)等9加盟国で99 年を下回る中、イギリス(同+4.9%)は増加するとしている。これは、牛海綿状脳症 (BSE)対策として講じてきた子牛と畜奨励金を99年7月末で廃止したことが主な要 因であり、この影響は2000年下半期以降、牛と畜頭数の増加に反映すると見込んでいる。 EUの牛肉消費量は、96年に再燃したBSE問題で大きく落ち込んだが、その後回復 基調に転じ、ようやく問題再燃前の水準に戻りつつある。また、牛肉介入在庫は、99年 にロシアへの食料援助等により牛肉輸出量が増加し、在庫の取り崩しが進んだ結果、在 庫量は低水準(2000年1月末現在の在庫量:23,589トン、製品ベース)となっている。 このような状況から判断して、EUにおける当面の牛肉需給は、引き締まった状態が続 くものとみられる。
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