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鶏肉の統制価格をめぐる動き(マレーシア)
【シンガポール駐在員 外山 高士 9月28日発】マレーシアの鶏肉生産者団体に よると、首都クアラルンプール近郊における鶏肉の小売価格(中抜き)は、上限で ある統制価格の1s当たり5.0リンギ(約140円:1リンギ=28円)でほぼ安定的に 推移している。しかし、生体での農家販売価格は、8月上旬に3.1リンギ(約87円) であったのが、中旬には2.7リンギ(約76円)に、下旬には2.2リンギ(約62円)に 下落しており、9月に入っても1.8〜1.9リンギ(約50〜53円)と軟調に推移してい る。これは、需要が安定している一方で、生産が過剰となっていることを理由に、 流通業者による価格の引き下げが行われているためであると生産者団体では述べて いる。 マレーシアにおける鶏肉価格は、消費者の保護を目的として、95年から統制価格 が導入され、98年に農家販売価格、卸売価格、小売価格のそれぞれについて上限価 格を設定し、この価格以下での販売を義務付けるものとして実施されている。 生産者団体では、引き下げられた農家販売価格に見合う小売価格を設定するべき であるとして、統制小売価格を4.0リンギ(約112円)まで引き下げるよう政府に要 求している。一方、クアラルンプールとセランゴール州の鶏肉流通者団体では、統 制小売価格を超えて販売しているわけではないので、問題はないとしながらも、消 費者に対しては高い小売価格で販売している現状を認め、統制価格の引き下げを受 け入れる発言をしている。また、これら安価で入手した鶏肉について、一部の流通 業者は、これから年末にかけての需要期を控えて冷凍保存しており、実際の流通に おいては供給過剰になっていないとしている。 これに対して、統制価格を監督している国内取引消費者行政省では、現段階では、 鶏肉の農家販売価格と小売価格が、統制価格を超えているわけではないので、見直 しの必要はないとしている。また、農家販売価格が下落している現状も既に把握し ており、価格が上昇していない限り、これまで以上の調査などをする必要はないと している。 しかし、獣医畜産局では、国内の養鶏農家を保護する上からも、高い価格で鶏肉 を販売している小売業者に対して、国内取引消費者行政省が何らかの行動をとるべ きであるとの意見が強くなっている。また、過剰となっていると言われている生産 量を調整するため、タイからのヒナの輸入を一時的に中止することで、生産量の10 〜15%の減少を図るとしている。 政府と生産者は、ともに価格は市場動向によって決定されるべきであるとしてい るが、統制価格をめぐる今後の両者の動向が注目される。
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