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EU委、欧州食品機関設置について提案
【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 11月9日発】EU委員会は11月8日、欧州食 品機関(European Food Authority)の設置に向けた提案を発表した。同機関の役 割は、食品安全に関する独立専門機関として機能し、食品の安全確保とともに、消 費者の食品に対する信頼回復・維持に努めることとしている。提案は、今後、理事 会および欧州議会で共同審議される予定である。 同機関の設置構想については、BSE(牛海綿状脳症)や遺伝子組み換え(GM) 食品など食品安全問題解決のための重要基盤対策として、今年1月の「食品安全白 書」の中で明らかにされたが、その後、各界から意見を募っていた。なお、同機関 の設置場所(国)については、今回の提案に含まれていない。 提案の概要は次の通り。 (役割) 欧州食品機関は、食物連鎖全体を見渡し、政策や法令を支持する、理路整然とし た科学的根拠を提供するための幅広い業務を行う。対象範囲は、食品安全のみなら ず、家畜衛生、動物愛護、農薬および栄養に直接・間接的に関連するすべての事項 とする。 同機関の主な機能は次の6つである。 ・ (委員会、加盟国、各国の食品関連機関または欧州議会の要請に応じ)独立し た科学的見解の提供。なお、加盟国独自の同様機関と密接な協力関係を保つよう ネットワークの構築 ・ 食品安全・栄養、家畜衛生、動物愛護、農薬分野の政策や法令を支持するため の技術的事項についての助言 ・ EUにおける食品安全監視のための食事様式、ばく露、危険性に関するデータ の集計および分析 ・ 危険性の発生確認 ・ 食品および飼料について(危険発生時における)迅速警告システムの管理 ・ すべての活動および結果の明解な広報活動 (組織体制) 運営委員会:加盟国代表者、EU委員会代表者、欧州議会に指名された代表者、 消費者および業界を含むその他の関係団体の代表者で構成される運営委員会を置く。 同委員会は、EU委員会の提案に基づき、任期5年の執行委員長を指名する。 諮問委員会:加盟各国の関連部署からの15人の代表者で構成される諮問委員会を 設置し、同機関を補佐する。 科学パネル:運営委員会からの要請に基づき、独立した科学専門家で構成される 種々のパネルを設置する。また、科学パネルの各議長と6人の独立した専門家で構 成される科学委員会を設置し、科学パネルが科学的見解を出す手続きの調和のため 全体調整を行う。 (人員および予算) 活動が本格化した場合、約330人の人員が必要と見込まれているが、まず最初の3 年間で約250人の人員を雇い、約4千万ユーロ(約37億円:1ユーロ=92円)をEU 予算から拠出する。 (科学的見解の対立時の対応) 同機関は、その科学的見解と他の機関の科学的見解が対立する原因となりそうな 事項を早期に確認するよう努めるとともに、そうした場合には、関連する科学情報 を両者で共有するようにしなければならない。また、見解の対立相手が加盟国の国 立科学機関である場合は、両者は対立解消に努めるか、科学的論点を明確にした共 同文書作成に向けて協力しなければならない。
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