ALIC/WEEKLY
USDA、オーエスキー病撲滅計画を推進
【ワシントン駐在員 樋口 英俊 11月8日発】米農務省(USDA)は11月2日、 2001年度(2000年10月〜2001年9月)のオーエスキー病撲滅計画に5千6百万ドル(約 61億円:1ドル=109円)を拠出すると発表した。 これは98年12月にグリックマン農務長官が発表した、同病撲滅を加速させる計画 (APEP)の一環で、USDAの動植物検査局(APHIS)が州政府などの協力 を得て、感染した豚群の自主的処分に対する適正な市場価格に基づく補償や感染に対 する予防的な措置などを行うものである。 今年度は特に、ワクチン接種、移動制限の順守、感染豚群と関連のある豚群の全頭検 査、感染の早期発見を目的とした監視体制の強化などの予防的側面に重点を置くこと とされている。 USDAは、資金の大半は最大の肉豚生産州であり、感染豚群の98%が存在するア イオワ州で使われることになるとしている。同州では昨冬から春にかけて、気候が 穏やかであったこと、感染した豚の移動が行われたこと、豚価の低迷によりワクチン の接種が減少したことなどから、同病に感染した豚群が大幅に増加したという。 オーエスキー病は、流産、死産を含む繁殖上の問題や子豚の死亡も引き起こすこと などから、生産者へ与える直接的なコストだけでも年間約4千万ドル(約44億円)に 達するものとみられている。USDAのダン次官補は、こうした状況に直ちに終止符 を打ち、肉豚生産をより収益の多いものにしなければならないとコメントした。 一方、肉豚生産者の団体である全米豚肉生産者協議会(NPPC)のジェロリメッ ク会長は、USDAの発表を歓迎するとともに、同病のマイナスの影響として、カナ ダへの肉豚輸出の機会が制限されていることについても言及した。 NPPCによれば、肉豚価格が低迷する中で、連邦政府の関与が強まったAPEP の実施以降、1,046の豚群が処分され、現在では感染した豚群は約375にまで減少し、 その地域もアイオワ州北部などに大きく絞り込まれてきたという。また、同病が完 全に清浄化された州は37州に及び、6州は清浄化ステータスを得られる段階に差しか かっている。 NPPCは、89年に政府と業界との共同事業として同病の自主的撲滅計画が導入 されて以来、肉豚生産者などから徴収されるチェックオフ資金を利用して、連邦、州 政府とともに目標の実現に尽力しており、今回の資金の活用により、残存する感染 豚群に対する全面的な対応が可能となるとして、早期撲滅に期待を強めている。 なお、複数年に及ぶ計画であるAPEPについては、必要に応じて、来年度も同 様の施策に対して資金を拠出することとされている。
元のページに戻る