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日本産牛肉の輸入を再開(シンガポール)


【シンガポール駐在員 外山 高士 11月23日発】シンガポールは、日本における
口蹄疫発生に伴い、今年3月29日から日本産牛肉の輸入を禁止していた。しかし、
国際獣疫事務局(OIE)の清浄化確認の発表を受け、10月19日から日本産牛肉の
輸入再開を許可していた。そして、このたび、日本産牛肉として再開後初めて、宮
崎県産の牛肉が輸入された。
 
 シンガポールは、国土面積の制限から国内での畜産業はほとんど行われておらず、
牛肉などの食肉は、その多くを輸入に頼っている。同国における牛肉の輸入量は、
好調な経済成長を背景に増加傾向で推移し、97年には前年比1.9%増の約1万4千
トンとなっていたが、東南アジアを襲った通貨危機の影響で、98年には前年比14.8
%減の約1万2千トンとなった。しかし、99年には再び増加に転じ、前年比25.1%
増の約1万5千トンとなっている。このうち日本からの輸入量は、非常に少ないも
のの増加傾向で推移しており、99年では前年比33.3%増の24トンとなっている。ま
た、輸入価格(CIF)は、通常品が1s当たり平均5.0シンガポールドル(約315
円:1シンガポールドル=63円)であるのに対し、日本産牛肉は35.2シンガポール
ドル(約2,218円)と約7倍の高値になっているのが特徴である。なお、99年にお
ける輸入相手国では、ブラジルが約6千トンで1位となっており、以下豪州、ニュ
ージーランド、米国の順となっている。

 今回輸入を再開した牛肉は、シンガポール国内でも最高級クラスとされている有
名ホテルの和食レストランにも卸されている。同店は、昨年から開業し、宮崎県産
の牛肉を用いた鉄板焼きなどで、同国に駐在する日本人以外に、欧米人などにも有
名な店である。同店では、以前と同じメニューの復活を歓迎し、現在は冷凍で輸入
されている牛肉について、衛生的にはほとんど問題がないこともあり、今後は冷蔵
で輸入することで、よりおいしい和牛肉を提供したいとしている。

 また、日系スーパーマーケットでも店頭での小売販売を再開している。この店は、
日系の百貨店に出店しており、日本からの輸入食材を多く取り扱うため、日本人客
の多い店である。同店では、宮崎県産牛肉がフルセットではなくパーツごとでの輸
入に対応していることから、取り扱いを開始したようである。

 同国の人口の約7割を占める中華系住民は、鶏肉や豚肉に比べて牛肉の消費量が
少ないものの、高級品に対するし好などから、一部に和牛肉を非常に好む人もいる。
また、和牛肉は、同国において高級レストランの食材として欠かせないものとなっ
ており、日本人だけではなく、今後は同国の住民を含めた販路の拡大が、今後期待
されている。


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