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口蹄疫問題によるメルコスル諸国の動向
【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 9月28日発】南米における一連の口蹄疫 問題で南米南部共同市場(メルコスル)の口蹄疫問題専門家会合が9月12日、ウル グアイのモンテビデオで開催。獣医師など各国専門家が参集したこの会議で、パン アメリカン口蹄疫センターの調整の下、各国が協同して問題解決に当たることなど が合意された。今回は各国の状況を報告する。 (アルゼンチンの状況) 今年6月1日から8月5日までにフォルモサ州から出荷された牛の血清検査がほ ぼ終了し、352農場などからの16,679検体の検査結果はすべて陰性。15頭の口蹄疫 抗体陽性牛以外に、抗体陽性牛は見つかっておらず、今回の口蹄疫騒ぎも収束に向 かっている。そうした状況を踏まえ、9月18日以降家畜の移動禁止措置が緩和され た。9月中旬にEUの衛生調査団が派遣され、フォルモサ州ほか3州の現地調査を 行った。また、今月下旬には2国間の衛生協定に向けての米国、カナダ、メキシコ の北米自由貿易協定(NAFTA)3国合同調査団をはじめとし、国際獣疫事務局 (OIE)調査団、中国からのミッションが続々と派遣され、現地調査を行ってい る。衛生当局は自信を持って臨んでいるようだ。農畜産品衛生事業団(セナサ)の 非公式発表では、口蹄疫の抗体が確認されてから90日後の11月初旬から12月にかけ て、米国など主要輸入国のアルゼンチン産牛肉の輸入が再開されるとみている。 (パラグアイの状況) 9月2日、ブラジルのポルトアレグレで開催されたメルコスル農相会議で、口蹄 疫ワクチン接種中止を表明している中での接種の事実を隠しきれなかった同国は、 口蹄疫に感染した疑いのある牛の殺処分を開始し、また数百万頭の牛にワクチン接 種を予定している。 (ブラジルの状況) 8月下旬、ウルグアイと国境を接するリオグランデドスル州のジョイア市の4農 場(件)で乳牛を中心に28頭の牛がO型による口蹄疫患畜と診断されたことに端を 発する口蹄疫問題は、収束の兆しが見えていない。口蹄疫の発生は散発的だが、現 時点の発生件数はジョイア市の18件を含む21件に増え、21農場を含む33農場で牛2, 800頭、豚900頭、羊など200頭が殺処分された。今後も殺処分の頭数は増加模様。 今年5月以降口蹄疫ワクチン接種を中止した同州は、現時点でワクチン接種を再開 していない。同州と州境を接するサンタカタリナ州やその北部のパラナ州は、厳重 な警戒態勢をとっている。今のところ口蹄疫の発生があるのはリオグランデドスル 州のみ。ブラジルは米農務省の衛生調査ミッションの派遣を要請中。 (ウルグアイの状況) 9月初め、メキシコはウルグアイに対し牛肉の輸入禁止を通知。この通知に不服 のウルグアイは、NAFTA衛生調査団の派遣を要請し、9月20日に米国とメキシ コのミッションが現地入りして調査を実施。同国での口蹄疫の発生はないが、隣国 の口蹄疫発生で、厳重な国境警備を実施するなど幾重もの防疫体制を敷いている。
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