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BEEFEX2000を開催(豪州)
【シドニー駐在員 幸田 太 9月28日発】豪州フィードロット協会(ALFA) 主催の2年に1度のフィードロット生産者の大会、BEEFEX2000が9月初旬、 クインズランド(QLD)州で開催された。大会には、アメリカ、ヨーロッパ、日 本、韓国など世界各地からパネラーが招かれ、豪州の肉牛産業を取り巻く情勢につ いてグローバルな視点から活発な意見交換が行われた。 この大会は、日本の牛肉輸入自由化が行われた翌年の92年から開催されており、 本大会で5回目となった。参加者は、ALFAの会員であるフィードロット生産者 をはじめ、外務貿易省、QLD州第一次産業省、豪州家畜生産者事業団(MLA)、 民間調査機関、マスコミ、畜産関連産業と多彩であり、3日間の開催で300名を超 えた。 大会は、次の大きな4つのテーマごとにパネラーが基調講演を行い、その後、パ ネルデスカッション方式により、パネラーと参加者が意見交換を行う形で進められ た。 @豪州牛肉産業の世界的な発展の機会:世界の牛肉の需要と供給、アジアへの牛 肉輸出の機会、韓国の牛肉輸入自由化の状況と今後の需要動向、日本の牛肉消 費動向の変化と需要予測 A豪州肉牛産業の競争相手:非関税障壁の削減、南米は脅威か、EUの牛肉消費 動向と貿易障壁、米国の牛肉需要動向 B消費者ニーズの変化:新世紀の世界的牛肉需給状況、米国の消費者ニーズ、豪 州の消費者ニーズ、EUの消費者ニーズ Cミート・スタンダード・オーストラリア(MSA):MSAとは何か、MSA の将来展望、USDAとMSAの格付け比較、グレインフェッドビーフコンテ ストの開催 これらの中でも目を引いたのは、日本在住パネラーの独自調査に基づく講演であ った。日本市場における年齢構成別人口、主婦の専業率の低下、中食の普及浸透、 大都市別牛肉消費量、購入形態、牛肉の調理法の実態、健康志向による赤身肉への 消費者の嗜好の変化など、最近の日本の消費動向についての分析や今後の豪州産牛 肉の需要見通しが非常に詳細に述べられていた。 また、消費者のニーズについて講演した各国のパネラーが異口同音に、安価、安 全、健康(栄養)、簡単(調理)な牛肉でなければ、消費者に受け入れられないと 強く述べ、牛肉はもちろんすべての食品に対する消費者のニーズは、先進国では共 通認識となっていることも興味深いものであった。 なお、パネラーには、それぞれのテーマの専門の実務者が起用されたため、参加 者が政策に対しての疑問や不満を直接パネラーにぶつけるなど議論が白熱し、他の パネラーが割って入る一幕も見受けられた。 ALFAの四半期ごとの調査によると、豪州フィードロットの飼養頭数は、2000 年6月末で67万3千頭(前年比16%増)と史上最高を示しており、豪ドル安の追い 風の中で活況を呈している。 今回の大会では、現在の状況を世界的な視野から冷静に再認識し、次に何をすべ きかを真剣に模索する豪州のフィードロット関係者の姿勢が印象的であった。
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