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2000年上半期の鶏肉生産量は7.3%増(ブラジル)



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 10月4日発】ブラジルブロイラー用ひ
な生産者協会(APINCO)によると、今年上半期(1〜6月)における鶏肉生
産量(骨付きベース。以下同じ)は、ひなふ化羽数の増加などから7.3%増の287万
5千トンとなった。しかし、99年上半期が前年同期比14.7%増であったのに比べ増
加率は半減した。
 
 ひなふ化羽数の推移を見ると、1〜6月では、前年同期比4.4%増の約15億9千7
百羽となったものの、5、6月は前年同月比で減少し、5〜8月では、約10億5千6
百万羽と前年同期を2%下回った。APINCOでは、この要因として、供給過剰
によるブロイラー価格の低下、トウモロコシの供給不足による飼料価格の高騰によ
る生産コストの上昇を挙げている。

 国家食糧供給公社(CONAB)発表のサンパウロ州における生体1kg当たりの
ブロイラー生産者価格の推移を見ると、今年上半期の平均価格は、前年同期とほぼ
等しい0.76レアル(約45円:1レアル=約59円)であったが、4月は0.57レアル
(約34円)まで下落した。その後、生産が抑えられたことから8月には前年同月比
52%高の1.11レアル(約65円)に回復した。APINCOは、生産の減少によりブ
ロイラー価格が回復した一方で、多くの養鶏農家が廃業を余儀なくされ、中でも、
インテグレーションの傘下にない独立養鶏農家の多いサンパウロ州において影響が
大きかったと指摘している。

 また、APINCOでは、2000年の鶏肉生産量を、前年比3.5%増の572万トンと
予測しており、98、99年のそれぞれの増加率8.8%、13.8%と比べ、増産ペースの
鈍化は明らかであると見ている。

 ブロイラー価格の低下、飼料コストの増加という状況下において、生産調整によ
るブロイラー価格の回復が図られたものの、市場獲得競争が激化するブラジル鶏肉
業界では、大手鶏肉処理加工業者が市場シェア拡大を図るべく中期的な増産計画を
打ち出している。現地報道によれば、99年のと鳥処理羽数で首位のサジア社に次い
で多いペルジゴン社が、2003年までにと鳥処理能力を99年の1日当たり110万羽か
ら27%増の140万羽、また、第4位のセアラ社が、今後3年間に現在の1日当たり71
万羽から41%増の100万羽とする計画があるとしている。

 APINCOは、消費者の購買力の伸び悩み、トウモロコシの供給面の問題、ひ
なの生産性向上による供給の増加などが続く限りにおいて、ブラジル鶏肉業界が、
今後、継続して増産を図ることは望ましくないと見ており、現行の生産レベルを超
えることは、回復の兆しが見え始めたブロイラー市況を失速させかねないとの懸念
を抱いている。


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