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投票結果が待たれる米国の豚肉チェックオフ制度
【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 10月5日発】9月19日から3日間にわた り、豚肉のチェックオフ制度の存廃を問うための全体投票(レファレンダム)が、 全米で実施された。 投票資格を有する者は、不在者投票の受け付けが始まった8月18日からさかの ぼる過去1年以内に、米国内で豚を飼養・販売した者および豚または豚肉を輸入し た者である。 今回の投票をめぐっては、賛否を分かつ関係者の間で、手続き上の問題等に関す る不満が噴出し、投票後に及んでも、緊迫した情勢が続いているとみられる。 1つは、米農務省(USDA)による投票実施の決定過程の正当性に関する問題 が挙げられる。チェックオフ制度の実施機関である全国豚肉生産者協議会(NPP C)は、本年2月に投票の実施が発表された際、法律上、全体投票の実施には、生 産者や輸入業者の15%以上の署名が必要であるのに対し、集められた約1万9千件の 署名が有効なものであったかをUSDAが明確にしないまま、決定に踏み切ったと の不満を表明した。これを受けた議会の要請により、米会計検査院(GAO)にお いては、USDAの決定の妥当性について審査が行われ、投票日を過ぎた9月28 日、その報告書が公表された。 報告書は、署名に関する要件が満たされていたかどうかは明確ではないとしなが らも、グリックマン米農務長官には、今回の投票の実施を決定する権限があるとし、 USDAの決定そのものについては否定していない。ただし、署名の有効性を判定 すべき同省農業マーケティング局(AMS)が、最終的にこれを行わなかったとし て、その判定プロセスを強化するよう勧告している。また、投票に係る経費の負担 に関しても、法律に定められているように、USDAの予算ではなく、チェックオ フ資金によって賄われる必要があると指摘するなど、含みを持たせた内容となって いる。 一方、投票日を前に、制度の廃止を求める家族経営を中心とする農業グループか らは、チェックオフ資金が大規模企業経営やパッカー等を利するために用いられ、 また、NPPCが、投票結果を有利に運ぶため、不当な工作をしているといった批 判がなされていた。これに対して、NPPCは、反対派の主張は絵空事であるとし て全面的に否定するとともに、チェックオフ資金によって、米国産豚肉の市場が、 この10年間で約3倍近くまで拡大し、農家所得の増加にも大きく貢献しているとの チェックオフ制度のメリットを訴えかけていた。さらに、農家等に対する「VOTE Y ES(制度の存続にはイエスと投票しよう)」と表した葉書の送付などのキャンペー ン費用についても、チェックオフ資金にはよらない独自財源で賄われた正当な活動 であるとも反論している。 これまでのところ、投票率なども含め、状況は明らかにされていないが、有資格 者の確認等に時間を要することから、USDAによる投票結果の発表は、年末頃に なるとみられている。
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