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フィードロット産業の新潮流(アルゼンチン)



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 10月10日発】99年のアルゼンチン
におけるフィードロット産業は、肥育素牛価格が高く経営面で厳しかったが、最
近では経営も安定しつつある中、新たな取り組みが見られる。

 アルゼンチンでは、90年代はじめから半ばにかけ米国などの技術を取り入れ、
全体の9割近くのフィードロット経営がスタートした。91年の兌換(だかん)法
成立以来、コスト的に見合う価格で取り引きが可能になったためである。現在フ
ィードロット専業経営が250、穀物価格に応じ他の作物(主に穀作)と選択的な経
営をする投資額5万ドルまでの農家(小規模)フィードロットが300〜400といわ
れる。

  全と畜頭数のうち約1割がフィードロット由来で(98年はと畜頭数1,135万頭の
うち約150万頭)、フィードロット専業経営から半分、農家フィードロットから半
分といわれている。

 いくつかの大牧場からなるフィードロット専業経営の大半は生産、販売面で好
立地のブエノスアイレス州、サンタフェ州にフィードロットを所有する。サンル
イス州にフィードロットを所有するイタリア資本のセルアルヘンティーナ社や米
国資本のカクタス社は、その事例である。良質の牧草確保が困難な子牛生産地帯
に牧場が立地する牧場経営者は、「ホテル業」と呼ばれる肥育委託業者に肥育素
牛を預託する。食肉処理加工業者、と畜業者、穀物業者がフィードロットを所有
し、大規模に肉牛経営を行うのが一般的なようだ。  

 フィードロット用の肥育素牛の7割弱は、生体重140〜150kgの離乳時期の雌子
牛(同国では200kg以下を子牛と呼ぶ)で、アンガス種を主体とした英国系品種
である。放牧後フィードロットで70〜100日間肥育し90〜100kg増体させる。こう
した肥育方法を採っている理由として、

 @ 主な販売対象を柔らかい若齢雌牛を好むブエノスアイレス大都市圏の富裕
  層に限っている。

 A フィードロット肥育では、出荷時体重が240kg以下で半丸枝肉重量65〜70kg
  を目指す。これはテルネーラと呼ばれる高価格の子牛肉として売れる。しか
  し、70kgを超える半丸枝肉は去勢若齢牛、未経産牛に分類され、食肉処理加
  工業者の買入れ価格が10%程度下がる。

 B仕上がり体重が増えるほど単位増体量当たりのコストが増加する。

 また、アルゼンチン北部に多い英国系品種とゼブ種の交雑種去勢牛(300〜350
kg)を100〜120kg増体させる肥育方法もよく知られている。

  最近の傾向として、短期間の肥育で最大の増体を得るため、代償成長を利用し
た早期離乳を取り入れた肥育方法が試されている。昨年9月以降のウルグアイの
干ばつで、アルゼンチンの大手スーパーマーケット、ディスコ社は早期離乳した
110kg、3〜4ヵ月齢のヘレフォード種を輸入し、220kgに仕上げ高価格で販売し
た例のような新しい取り組みも見られる。


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