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EU、ポーランドと農産物自由化に合意
【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 10月12日発】EU委員会は9月27日、 ポーランドと農産物貿易自由化について合意に達したと発表した。昨年ポーラン ドが一部農産物の関税を引き上げたことから、交渉は難航し1年半にも及んでい たが、ようやくEU加盟申請中の中東欧諸国10ヵ国すべてとの農産物貿易交渉が 合意に達した。 この合意に関し、EUのフィシュラー農業担当委員は「ダブルゼロ(関税、輸 出補助金などの相互撤廃)はポーランド、EUのダブル(相互)の利益を意味す る。これは貿易にとって、さらにポーランドの加盟準備にとって好ましいことで ある。今回の合意は、最近の中東欧諸国との交渉合意のうちでは最も広範な品目 を含むものとなり、貿易額で10億ユーロ(約970億円:1ユーロ=97円)を超え る規模となる。ポーランド産農産物のEU向け輸出のうち、約4分の3が無税と なるだろう」とコメントした。 また、フェアホイゲンEU拡大担当委員は「今回の合意は、双方の客観的状況 を勘案した公正かつ均衡のとれたものである。さらにEU拡大の進展という意味 で良いニュースであり、双方の親善精神の下での農業分野の加盟交渉へ道を開く であろう。この合意は、お互いに政治的意志を持てば、農業分野のような微妙な 問題もうまく解決できることを示している。」とコメントした。 合意品目には、昨年ポーランドが関税を引き上げたすべての品目(麦芽、砂糖、 バター、小麦、豚肉、菜種など)が含まれ、EUの輸出機会は以前の状態に回復 するものとみられている。合意内容は、今後理事会の審議を経て2001年1月から 適用される見込みである。主な対象品目は次の通りである。 ・食肉(豚肉、鶏肉、牛肉) ・乳製品(チーズ、バター、粉乳) ・ほとんどの果物および野菜 ・小麦 合意内容を品目別に見ると、馬肉など、現在EUの関税率が10%未満の品目 (ポーランドからEUへの輸出品目)や、かんきつ、オリーブオイルなどポーラ ンドで生産されていない品目(EUからポーランドへの輸出品目)といった、貿 易自由化の影響の小さいと考えられる品目についてはEU、ポーランドでそれぞ れの関税を撤廃することで合意された。 また、双方の重要関心品目である、ポーランドが関税を引き上げている品目お よびEUの価格支持品目については、これまでの貿易量に基づき設定した一定の 枠(クオータ)の範囲内で、ダブルゼロを導入するとともに、毎年10%の枠拡大 を図っていくという形で合意された。 さらに、ポーランドの関税率引き下げによる税収の減少に配慮するため、ポー ランドからEUへ輸出される牛肉の関税割当枠を1万6千トン(現在は1万2千 トン)に拡大し、枠内の関税率は無税(現在は20%)とすること、生体牛の枠を 拡大し関税を10%(現在は20%)に引き下げることが合意された。
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