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加、米国産トウモロコシ輸入による損害を仮認定



【ワシントン駐在員 樋口 英俊 10月12日発】カナダ国際貿易裁定委員会
(CITT)は10月10日、米国産トウモロコシ(食品向けの一部の品種を除く)
のダンピングなどによる低価格輸入で、カナダのトウモロコシ生産者が損害を受
けたとの事実を仮認定した。

 これは、マニトバ州トウモロコシ生産者協会(MCGA)の申し立てに基づく
もので、同協会は、事実上補助金を受けた米国産トウモロコシがダンピング輸入
されており、マニトバ州の生産者が市場シェアの損失、赤字販売を強いられるな
どの損害を受けたと主張している。

 MCGAは、補助金に相当するものとして、米国の価格支持融資制度やエタノ
ール生産者への税額控除制度を挙げている。

 今回の仮認定に対して、米国政府はグリックマン農務長官とバシェフスキー通
商代表が共同でこれを非難する声明を発表した。グリックマン長官は、「トウモ
ロコシ価格は世界中で低迷しており、カナダだけでなく米国の生産者も打撃を受
けている。こうした事実にもかかわらず、今回の決定が行われたことには失望し
た」と述べた。

 また、バシェフスキー代表は、マニトバ州でトウモロコシ生産量が96年以降約
2倍にまで増加していることや、99年には米国のカナダ向け輸出額が前年より3
千3百万ドル(約36億円:1ドル=109円)減少していることを考慮すれば、米
国の輸出とカナダの生産者の収入減に何ら因果関係は見当たらないと、カナダ政
府の判断を批判した。

 カナダ政府のダンピングおよび補助金の認定手続きは、ダンピングなどの事実
についてはカナダ関税税務庁(CCRA)が調査開始後90日以内に、損害の発生
についてはCITTがCCRAからの調査開始通知の60日以内に、それぞれ暫定
的な判断を下すことになっている。

 さらに、CCRAはダンピングなどの仮認定をした場合、90日以内にダンピン
グや補助金の事実認定に加えて、それらの額などについての最終決定を行う。一
方、CITTもCCRAの仮認定通知から120日以内に公聴会の開催などの、さ
らなる情報収集を行い、損害発生の有無を決定する。その事実が認定された場合、
対象産品に相殺関税が課せられるという仕組みが設けられている。

 CCRAはダンピングなどについて、11月7日までに暫定的な判断を下すとみ
られるが、米国政府は、当該手続き上例外的に認められている45日間の延長を行
い、米国政府および業界が提供した情報を改めて十分検討するよう、カナダ政府
に求めている。

 グリックマン長官は、今回の決定と今後の展開について、世界貿易機関(WT
O)合意内容の観点から注意深く検討するとともに、引き続き米国の生産者の利
益を守っていくことに全力を傾けるとしている。


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