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牛腸の食用利用を全面禁止(フランス)
【ブラッセル駐在員 山田 理 10月19日発】フランス政府は10月11日、同国食品 安全局(AFSSA)の勧告に従い、牛海綿状脳症(BSE)対策として、牛腸の 食用利用を全面的に禁止する意向であることを明らかにした。 AFSSAは先般、牛腸に関して、BSEの感染源となる可能性を有する組織を すべて除去できる前処理方法(洗浄など)はないとして、「牛の腸すべてがBSE の感染源となる危険性を有すると考えるべきである」との勧告を行った。 同国では、EUでの実施に先行して、今年7月から回腸の食用利用が既に禁止さ れており、さらに牛の腸すべてに禁止措置が拡大されることとなる。 牛腸は、フランスの伝統的なソーセージなどの食肉加工品に主に利用され、年間 1万5千トンの食肉加工品が生産されている。食肉加工業者は@合成コラーゲンの ケーシング、A南米などのBSE非汚染国から輸入された牛腸、B豚など他の畜種 の腸に代替することが求められる。 ソーセージには、一般的に豚や羊の腸が用いられているが、業界団体は、現在、 牛腸を利用して食肉加工品を製造している70の業者のうち、4〜5社程度は製造す る製品の特性から他への代替は不可能であるため、この禁止措置の影響で廃業に追 い込まれる可能性があるとの懸念を表明している。 こうした措置強化の背景には、フランスにおいて、BSEの発生件数が急増して いることが挙げられる。今年の同国のBSE発生件数は、10月17日までに71頭報告 されており、既に昨年(31頭)の2倍に達している。発生件数の増加は、検査方法 の改善とEUに先行して実施されていた広範なBSE検査によるものとの見方が一 般的であるが、BSEが西部を中心にまん延している事実は否定できない。 フランスは、牛腸に関する食用消費の禁止措置について、同国内だけではなくE Uレベルでも実施を求めていくとみられており、今後の論議の動向が注目される。 なお、EUレベル(全加盟国)では、今年10月1日から、牛と体から以下に挙げ た特定危険部位(SRM:BSE感染源となる可能性が高いと見なされる特定部位) を、と畜場または食肉処理場で除去することが義務付けられている。 ・12ヵ月齢を超える牛の頭がい(脳および眼球を含む)、扁桃、せき髄および回腸 また、BSEの発生件数の多いイギリスおよびポルトガルでは、これに加え、腸 など以下のSRMも除去することが求められる。 ・6ヵ月齢を超える牛の頭部(舌を除く)、胸腺、脾臓、腸およびせき髄 ・30ヵ月齢を超える牛のせき柱
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