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アルゼンチン、伯と豚肉輸入規制につき協議
【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 10月24日発】ブラジルでは、今年8月に リオグランデドスル州で発生した牛の口蹄疫問題により、豚肉で輸出量の伸び悩み や価格の下落といった影響が見られる。こうした中、同国産豚肉に対する輸入規制 について、アルゼンチンと協議が行われた。 アルゼンチンを引き続き口蹄疫ワクチン不接種清浄国とすることを国際獣疫事務 局(OIE)が9月下旬に決定して以来、同国のブラジル産豚肉に対する輸入規制 が以下のように強化された。 @現在、口蹄疫問題が残るブラジルのリオグランデドスル州で生産・と畜された豚 肉の全面輸入禁止(口蹄疫問題を抱えていたアルゼンチンは、同州の発生牧場から 半径25km外で生産・と畜された骨なし豚肉に限り原産地証明を条件に8月下旬以降 輸入を許可していた)。 A口蹄疫の発生がないサンタカタリナ州で生産された豚もリオグランデドスル州で と畜された場合、と畜場が口蹄疫発生牧場から半径25km外であるという証明書を義 務付ける。 Bサンタカタリナ州で生産・と畜された豚肉も原産地証明を義務付ける。 ブラジルにとってアルゼンチンは香港に次ぐ重要な豚肉の輸出先国で、かつ、ア ルゼンチン向け豚肉の過半はリオグランデドスル州産という事情もあり、ブラジル はアルゼンチンの輸入規制措置の見直しを要求している。 ブラジルは、リオグランデドスル州の感染拡大を抑えている以上、疫学的事情は 変化していないのに口蹄疫発生のないサンタカタリナ州まで巻き込んで輸入の規制 強化をするのは承服できないということのようである。 この問題を解決するためにブラジルの国際検疫担当官が10月17日、アルゼンチン 農畜産品衛生事業団(セナサ)と協議した。この協議でブラジル側は、リオグラン デドスル州の発生件数は22件に止まっており、発生場所から半径70km内のしっ皆的 な血清検査の結果すべて陰性であること、既に1万頭以上の家畜を殺処分するなど 防疫・監視体制は完璧で約3ヵ月で元の衛生ステータス(ワクチン接種清浄地域) に復帰する見込みがあることなどを報告した。セナサのイリゴラス国際部長は、今 回の規制強化は検疫管理上根拠の明確な措置だとした上で、ブラジルの報告を肯定 的に受け止める一方、ブラジルの輸出用豚の生産地域指定や豚肉の熟成やpH調整 など技術的に解決すべき衛生問題をさらに詰めた上で、近々輸入規制を見直す意向 を示した。 なお、ブラジル産豚肉の主要な輸入国であるロシアも、今回の口蹄疫の問題でブ ラジルからの豚肉輸入を中止していたが、今月中旬、ブラジルと同国産豚肉の輸入 許可に関する衛生協定が取り交わされたとみられている。これによりリオグランデ ドスル州産豚肉を含め、ブラジルからの豚肉輸出が再開される見込みである。
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