ALIC/WEEKLY
EU委、飼料原料への畜産廃棄物使用禁止を提案
【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 10月26日発】EU委員会は10月19日、飼料原料 としての畜産副産物の使用に関し、食用に適さないへい死家畜や廃棄物の使用を禁 止し、食用に適する(が、商業的または技術的理由により食用として消費されない) 原料のみを使用できることとする規則を提案した。この規則の主な目的は、牛海綿 状脳症(BSE)やダイオキシン汚染など飼料を原因とする食品問題の発生を防止 することである。 動物性副産物は次のように、危険度に応じ3分類され、それぞれの処分(使用)方 法が規定されている。 ○第1分類(危険度大) 伝染性海綿状脳症(TSE)の危険性があるもの。不法に使用された禁止物質 (成長促進のためのホルモン剤など)の残留しているもの。環境汚染物質(ダイオ キシン、PCB類など)の残留しているもの。 ・適切な熱処理後、焼却または埋め立てにより完全に廃棄されなければならない。 〇第2分類(危険度小) TSE以外の疾病の危険性があるもの(農場でへい死した家畜や疾病の防疫のた め農場でと畜された家畜など)。動物用医薬品の残留しているもの。さらに、家畜 ふん尿、消化管内容物、と畜場の汚水・汚泥がここに分類される。 ・適切な熱処理後、飼料用以外(バイオガスたい肥、油脂化学製品など)のみに再 生利用が許される。 〇第3分類 健康な動物の副産物(食用としてと畜され衛生検査に合格したもの、外洋で獲れ た魚、健康な動物の乳など)。 ・ここに分類されたもののみが、適切な処理の後飼料原料として使用可能である。 また、飼料およびペットフードの動物性添加物の調製に使用できる原料は、ここに 分類されたものでなければならない。 さらに、同規則では、これらの3分類が、収集、輸送、保管、加工の各段階で仕 分けられ、最終製品が確実に区別できるようにする規定が盛り込まれている。例え ば、飼料用でない動物性たんぱく粉(ミール)はマーカーで染色されなければなら ないと規定されている。 本提案は今後、理事会と欧州議会で共同審議される予定である。 なお、この規則により直接の影響を受けることとなるEUのレンダリング業界の 規模については、承認レンダリング工場数が400以上、従業員数は17,000人で、1 日当たり約5万トンの動物性廃棄物を処理している。98年には、1,610万トンの動 物性廃棄物がレンダリングに向けられ、300万トンの肉・骨粉と150万トンの油脂が 製造され、飼料用や化粧品・薬品などに利用された。この処理量1,610万トンのう ち、1,430万トンがと畜場からの廃棄物で、と畜場外でのへい死家畜およびその他 廃棄物は180万トンであった。
元のページに戻る