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豪州からの生体牛輸入規制を緩和(フィリピン)



【シンガポール駐在員 外山 高士 10月25日発】フィリピン農業省は、今年6月
から実施している豪州からの生体牛の輸入規制を、当初の毎年前年比20%削減から、
5%削減に緩和すると発表した。

 この規制は、フィリピン産果物の輸入検査をめぐる豪州との問題に端を発し、豪
州からの生体牛輸入を毎年20%ずつ削減するとしていたものであった。このため、
今年は、昨年の輸入実績である26万5千頭の20%減として、21万2千頭の輸入を許
可することとしていた。このため、フィリピン国内では、最大手の生体牛輸入業者
が、輸入許可証の偽造による豪州産生体牛の輸入を摘発され、輸入許可申請を凍結
されるなど、業界内に混乱を来す状況となっていた。

 両国は先月、フィリピン産果物の輸入検査に関する協議を行い、フィリピン政府
の要求している3品目について、2年以内に輸入検査を終了することで既に決着し
ていたことから、今回の生体牛輸入の規制緩和となった。

 農業省では、口蹄疫清浄化地域としての認定を国際獣疫事務局(OIE)に申請
しているミンダナオ島に2万5千頭の生体牛輸入を追加で許可するなどし、今年の
輸入予定頭数を23万7千頭とすることで、前年比5%減に抑える計画としている。
同省では、ミンダナオ島が今回の輸入規制措置によって、最も多くの損害を受けて
いることから、優先順位が最も高い地域であるとしている。また、予定通りにいけ
ば、来年5月にはミンダナオ島の清浄化が認定され、牛肉の輸出が可能となること
から、同地域における生体牛の需要が、今後高まることが予想されている。なお、
農業省によると、同地域には今年4月現在の統計で水牛102万頭、肉用牛82万頭、
豚324万頭が飼養されており、それぞれ国内総飼養頭数の33.7%、33.1%、30.1%
といずれも3割以上を占めるほか、家畜用飼料のトウモロコシの生産も盛んで、国
内最大の生産地帯となっている。今回の措置について同省では、生体牛の輸入規制
措置は「緩和した」だけで、2年後の輸入検査終了が確認されるまでは、撤廃しな
いこととしており、最終的に豪州が果物の輸入を開始するまでは、この措置を継続
する考えでいるとしている。

 回復傾向にあるフィリピン経済の中で、牛肉消費は増加傾向にあるとされており、
これに伴い、国内フィードロットでは肥育素牛不足が深刻化しているといわれてい
る。政府には、このところ低下しているエストラーダ大統領の人気を、その支持基
盤でもある農業者を中心に回復させるとの期待があるとみられている。また、この
措置により、業界は肥育素牛不足の状況が改善されることを期待しているようでも
ある。


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