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拡大を続けるフィリピン畜産業
【シンガポール駐在員 外山 高士 8月31日発】フィリピン農業省は、2000年 上半期における農業生産の動向に関する統計を公表した。これによると、同国の主 要な穀物の1つであるトウモロコシの生産量が、前年同期比6.4%減と昨年の103.1 %増から一転して減少に転じている。しかし、畜産業については、水牛肉を含む牛 肉が2.5%増、豚肉2.1%増、牛乳5.5%増、鶏肉5.2%増、鶏卵6.5%増と全品目で 増加となっており、引き続き拡大傾向で推移している。 品目別の動向を見てみると、トウモロコシの生産量は、99年上半期では211万ト ンと、異常気象により収穫量が減少した98年同期と比べ、2倍以上の大幅な増加と なっていたが、今年は197万トンと6.4%の減少となっている。畜産物は、牛肉では 第1四半期に水牛のと畜頭数が増加したため、水牛肉の生産量が前年同期比5.0% 増の5万9千トンとなったことから、牛肉全体でも2.1%増の19万2千トンとなっ ている。また、生乳の生産量は、搾乳牛の増加により5千5百トンと、前年同期の 伸び率7.6%には及ばないものの、引き続き増加傾向で推移している。一方、99年 上半期に前年同期比3.7%の減少となっていた鶏肉は、45万9千トンと5.2%の増加 に転じており、鶏卵も11万8千トンで99年上半期の1.0%減から6.5%の増加に転じ ている。 農家販売価格を見ると、生産量の減少したトウモロコシが、99年上半期の1s当 たり平均5.86ペソ(約15円:1ペソ=約2.5円)を24.2%上回る7.28ペソ(約18円) となっているものの、鶏肉では56.25ペソ(約141円)が50.17ペソ(約125円)、鶏 卵でも55.44ペソ(約139円)が52.59ペソ(約131円)となっているなど、多くの農 産物で価格の低下が見られている。 このため、農業生産額は、コメやトウモロコシ、サトウキビなど全生産額の44% を占める主要10品目で、99年上半期の34.0%増から2000年上半期には7.0%減に転 じていることから、全体でも29.5%増から9.3%減へと、減少に転じた。しかし、 畜産物では、生乳が12.1%増から12.0%増となっているのをはじめ、牛肉で3.9% 増から6.0%増、豚肉でも7.7%増から8.2%増と前年同期の伸び率を維持もしくは 上回って推移している。一方、価格の低下した鶏肉と鶏卵では、鶏肉が99年上半期 の3.3%減から2000年上半期は6.2%減、鶏卵が17.0%増から1.0%増となっており、 鴨肉などを含む家きん産業全体でも0.5%増から4.2%減になるなど、厳しい状況と なっている。
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