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飼料用トウモロコシの輸入条件改訂案を公表(豪州)
【シドニー駐在員 野村 俊夫 9月21日発】豪州検疫検査局(AQIS)は、 このほど、米国産飼料用トウモロコシの輸入条件の改訂に係る最終案を公表した。 これは、豪州フィードロット協会(ALFA)などが、病原菌などによる汚染の危 険性が低い米国の特定地域から飼料用のトウモロコシを輸入する場合には、通常適 用される厳しい輸入防疫措置を緩和するよう要求したのに対し、約3年間かけてそ の影響を審査したうえで提案されたものであるが、その条件として積出し港におけ る万全の防疫措置を義務付けるなど、依然として厳しい内容となっており、畜産業 界に波紋を投げかけている。 今回、AQISが公表したのは「米国産トウモロコシの輸入に係る危険分析」と 題する報告書で、これによると、米国産トウモロコシの輸入により、17種類の病原 菌、14種類の害虫、80種類の有害植物が豪州に侵入する危険性があるため、しかる べき防疫措置を講じる必要があるとされている。 豪州では例年、30万トン以上のトウモロコシが生産されており、ほぼ全量が飼料 用などで国内消費されている。飼料穀物の主体は、国産の大麦やソルガムであるが、 これらの飼料穀物は、その生産量が天候に大きく左右されやすい。一方、トウモロ コシは、飼料としての利用価値が高いこともあって、安定的な輸入への需要は極め て強いものがある。 しかし、豪州では、検疫法(Quarantine Act)の規定により、トウモロコシを輸 入する場合、AQISが指定する輸入港周辺地域の認定加工施設で、加熱・加工処 理(薫蒸・粉砕など)の防疫措置を施さなければならないとされている。 実際、95年には、前年までの干ばつによって飼料穀物の供給が激減し、取引価格 が高騰したため、米国から大量のトウモロコシが緊急輸入された。この際、畜産業 界は、AQIS認定加工施設の新規建設などによって多大なコスト負担を余儀なく されたうえ、必要な飼料用トウモロコシを迅速に手当てできないという苦い経験を した(緊急輸入が行われていない現在、これらの施設は使用されないまま放置され ている)。 このため、ALFAを中心とする畜産業界は、97年10月、AQISに対し、比較 的安全な特定地域から飼料用トウモロコシを輸入する場合には、加熱・加工処理な どの輸入防疫措置を緩和するよう要求した。今回の報告書はこれに対する回答に当 たるものであるが、その条件として、トウモロコシの生産・輸出地域の限定、積出 し港における殺菌・殺虫などの万全な防疫措置の実施、品質の条件、輸送・保管条 件の設定など、細部にわたる条件を定めた厳しい内容となっている。 今回の報告書は、10月2日までの一般意見聴取期間を経て、正式な規則として採 用される予定であるが、ALFAを中心とする畜産業界側は強い不満を表明してい ることから、この問題は今後も議論が続くものとみられている。
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