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豪州・NZの食肉団体が業務提携に合意



【シドニー駐在員 野村 俊夫 4月5日発】豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)
とミート・ニュージーランド(MNZ)は3月27日、牛肉および羊肉のマーケッ
トアクセスの改善や研究開発など共通の利益を有する業務分野で緊密に提携してい
くことに合意したと発表した。今後、両団体は各輸出市場で相互にシェアを競う一
方、定期会合を持って業務提携の具体化を進めることになる。この発表に際し、M
LAのクロンビー会長とMNZのオークランド会長は、双方の食肉業界が輸出市場
で最大限の利益を確保し、かつ、それに伴うコストを最小限に抑えることを期待し
ていると述べた。

 両団体が業務提携の具体例として最初に挙げたのは、米国のラム輸入制限への対
抗手段である。米国は、豪州・NZ産ラムの輸入増加により国内の生産者が打撃を
被ったとして、99年7月に関税割当を導入した。これは昨年、世界貿易機関(WT
O)のパネルでルール違反と裁定されたが、米国が異議申立てを行ったため、現在
も審議が続けられている。この件については両国の羊肉業界の利害が完全に一致し
ているため、相互に協力して米国政府に対抗していく構えだ。

 業務提携すべき分野として次に挙げられたのは研究開発部門である。両団体とも
に肉牛・羊生産者を母体としており、牛肉・羊肉の消費拡大などに向けた研究開発
を精力的に行っているが、一方ではこれらの研究開発のコストを削減し、生産者か
ら徴収した課徴金を効果的に利用することが大きな課題とされている。その意味で、
双方が研究開発の成果を交換しつつ、重複による無駄がないようにその事業内容を
調整することは極めて重要だとみられている。

 特にEUにおける牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫の発生により、世界的な規模
で食肉の安全性に対する関心が高まる中、共にクリーン&グリーンのイメージを販
売戦略にする両国は多くの分野で協力できるものとみられている。

 両国の食肉輸出量(年間・製品ベース)を見ると、豪州は牛肉約90万トン、マト
ン約18万トン、ラム約11万トンで、NZは牛肉約30万トン、ラム約27万トン、マト
ン約6万トンとなっており、豪州が牛肉中心であるのに対し、NZはラムの比重が
大きい。加えて、牛肉輸出の内訳は、豪州が冷蔵のテーブルミート用に力を入れて
いるのに対し、NZは冷凍の加工原料用が中心である。

 両国の主要な輸出相手先は、北米(豪州牛肉・ラム、NZ牛肉)、EU(NZラ
ム・マトン)、日本(豪州牛肉)、中東(豪州マトン)など、食肉のカテゴリーに
よって異なっており、米国やEUが低税率輸入枠を国別に割り当てていることもあ
って、両国が同じ市場で真っ向から競合するケースは実際にはそれほど多くない。
こうしたことから両団体は、最低でも年1回の定期会合を持ちつつ、業務提携の範
囲を広げていく意向だ。両団体の取り組みがどのように具体化されるか、その動向
が注目される。


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