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アルゼンチン、口蹄疫撲滅計画を再スタート



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 4月19日発】アルゼンチン家畜衛生当
局が3月13日、ブエノスアイレス州に口蹄疫の発生を確認して以来、発生件数は増
加を続けている。4月14日付けでOIEが受けた通知では、パンパ中心部のブエノ
スアイレス州他計7州で291件の発生、約1万頭に口蹄疫の臨床症状が出ている。

 また一方、メネム前大統領に比べ指導力に難ありと評されていたデ・ラ・ルア政
権の下で同国の政治経済は混迷度を深め各界から不満が出ていた。経済建て直しに
新たに経済省大臣に任命されたロペス・ムルフィ元国防省大臣は、農牧水産食糧庁
を副庁に格下げ、この結果、農牧水産食糧庁のベロンガライ長官と農畜産品衛生事
業団(セナサ)のマチネア総裁は辞任した。しかし急激な財政緊縮策をとったムル
フィ経済省大臣は反対派に辞任に追い込まれ、後任に91年の兌換(だかん)法制定
の立役者ドミンゴ・カバロ元経済省大臣が復帰した。彼は農牧水産食糧庁の格下げ
を見直し、長官にマルセロ・レグナガ元同庁長官、セナサ総裁にベルナルド・カネ
元総裁を充てた。

 カネ総裁は就任するや、新たな口蹄疫対策を打ち出した。これは90年代初め、同
国が口蹄疫撲滅を目指していた頃の対策の踏襲である。この姿勢は評価できるが、
事態が深刻化している証でもある。この対策は、国土を、
 @ 中部地域(パラグアイ国境のフォルモサ州を含めた感染が広がっているパン
  パ中心部の諸州)
 A メソポタミア地域(ウルグアイ国と接するエントレリオス州を含む北東部の
  3州)
 B クジョ・北西地域(北西部の7州)
 C 北部パタゴニア地域
 D 南部パタゴニア地域(南緯42度以南の3州)
の5つに分け、Dの地域をワクチン不接種清浄地域として維持する。D以外の地域
では、年内に全頭を対象に段階的にワクチン接種を行い、今後数年間接種を継続す
る。Dの地域の牛飼養頭数は少ないので、事実上全飼養頭数にワクチン接種が施さ
れることとなる。現在、既に第1回目のワクチン接種で1,400万本以上が接種され
ている。その結果、概ね4年以内に口蹄疫ワクチン接種清浄国を目指す計画である。
カネ総裁はEU、チリ、ロシア、イスラエルなどに出向いて対策の説明をする予定。

 アルゼンチン産の穀類、野菜類などの輸入を緊急避難的に規制してまで防疫に努
めている隣国ウルグアイとブラジルは、最近エントレリオス州で新たに2件の発生
が確認されたことから、さらに緊張を高めている。両国はアルゼンチンのワクチン
接種を肯定的にとらえる一方、情報公開は閉鎖的で、対策説明などは輸入国を第一
に考える態度を非難している。


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