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【ブラッセル駐在員 山田 理 4月19日発】イギリスから欧州大陸に飛び火し た口蹄疫の感染拡大は、沈静化の兆しを見せている。 今年2月のイギリスでの口蹄疫発生後、欧州大陸で初めてとなる感染が確認され たフランスでは、迅速な予防措置が効を奏し、感染はわずか2件で食い止められた。 その後、新たな感染が確認されなかったことから、同国および感染地域に対する生 体家畜の輸出禁止や畜産物の地域外への移動禁止などの措置は、4月12日にすべて 解除された。 現在まで25件の感染が確認されているオランダでも、4月13日以降、新たな感染 は確認されておらず、感染地域も主に中部のオーネ、北部のフリースランドの2地 域に集中している。 こうした状況を受けて、EUの常設獣医委員会(SVC)は4月18日、オランダ 全土を対象としていた畜産物の輸出禁止措置について、感染の確認されていない南 部および西部については解除するとのEU委員会提案を採択した。 ただし、規制解除に当たっては、@規制地域とその他の地域の間での交通を引き 続き規制すること、Aと畜場において、口蹄疫感染の徴候の有無に関する臨床検査 を実施すること、B生産された食肉は、と畜後24時間以内は出荷しないことをオラ ンダに対し求めている。 また、@オランダからの生体家畜(牛、豚、羊、山羊およびその他の偶蹄類)の 輸出、A口蹄疫の感染が確認されたグローニンゲン、フリースランドなどの地域に ついて、食肉、食肉製品、牛乳、乳製品など畜産物の規制域外への移動は、引き続 き禁止される。これらの措置は、新たな感染が確認されなければ、23日にEU委員 会において正式決定される見込みである。 隣接するオランダからの口蹄疫感染を防ぐため、口蹄疫ワクチンの接種を計画し ていたドイツ西部の北ラインウェストファーレン州は同日、計画を一時凍結するこ とを明らかにした。同州の計画では、オランダ国境付近の約80万頭の豚および約30 万頭の牛に対し、口蹄疫のワクチン接種を行うとしていた。しかし、ドイツでは口 蹄疫の発生は確認されておらず、この状況下で同州がワクチン接種計画を強行した 場合、ドイツ産食肉全体を対象とした輸入規制につながりかねない。このため、他 州の支持を得られなかったことに加え、同計画に反対する連邦政府に押し切られた 形となった。 口蹄疫の発生源となったイギリスでは、その感染数は19日(17:30)現在で1,396 件に上っている。政府は新たな感染確認数が減少してきていることから、口蹄疫は 完全にコントロール下にあるとしているが、1日当たりの感染数は依然として高い 水準にあり、今後の感染数の動向が注目される。
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