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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 8月22日発】ブラジル鶏肉輸出業者協会 (ABEF)がとりまとめた輸出動向(速報値)によると、2001年上半期(1〜6月) の鶏肉輸出量(骨付きベース。以下同じ)は、前年同期比44.0%増の59万トンとな った。また、同輸出額は、トン当たりの平均輸出価格が16.9%高となったこともあ り、68.3%増の6億2千6百万ドル(約757億5千万円:1ドル=約121円)に達した。 輸出量を形態別に見ると、丸どりが前年同期比33.4%増の27万6千トン、パーツ が54.9%増の31万4千トンとなった。輸出全体に占めるパーツでのシェアは、前年 同期比で3.8ポイント上昇し53.3%となり、丸どりのシェアを上回った。 輸出量を地域別に見ると、丸どりの主要市場である中東向けは、同地域向け輸出 価格の回復に伴い、39.5%増の22万トンと大幅に増加した。しかし、こうした増加 は、供給過剰による値崩れを再び招く恐れがあるとして、鶏肉業界では、下半期に おいて同地域向け輸出を手控える動きがあるものとみている。 パーツの主要市場であるEU向けは、牛海綿状脳症(BSE)および口蹄疫問題 の影響で牛肉や豚肉の代替としての鶏肉需要が増加したことから、2.2倍の12万2千 トンと大幅に増加した。 日本を含むアジア向けは、5.7%増の14万8千トンとなり、輸出全体に占めるシェ アは9.1ポイント下げて25.0%となった。このうち日本向けは、7.0%減の5万4千ト ンとなったが、これはEUへの輸出が拡大したことに伴う減少と思われる。また、 香港向けは6万5千トンと6.8%増の伸びにとどまった。この要因のひとつとして、 ABEFでは、香港へ輸出された鶏肉の多くが中国に再輸出されるとみられるが、 その中国が5月半ばにブラジル産食肉輸入を停止したことを挙げている。 南米のアルゼンチン向けは、同国政府が2000年7月にブラジル産鶏肉丸どりに対 し導入したアンチダンピング措置が継続中であることから、53.1%減の1万2千ト ンと大幅に減少した。 その他、新興市場では、ロシア向けが32.9倍の2万8千トン、南アフリカ向けが2. 4倍の1万2千トン、キューバ向けが3.2倍の1万1千トンと、いずれも大幅に伸びた。 ABEFでは、アルゼンチンによる輸入規制措置、中国によるブラジル産食肉輸 入停止措置など懸念材料はあるものの、レアル安、欧州におけるBSEおよび口蹄 疫問題などによる影響で、好調な鶏肉輸出は下半期も続くとみており、2001年の輸 出見込みを上方修正し、過去最高であった前年と比べ21.3%増の110万トンとして いる。
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