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牛肉の原産国表示をめぐる動きが活発化(米国)


【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 8月23日発】現在、米国においては、輸入産
品がそのままの形態で販売されるような場合を除き、家畜および食肉製品に対する
原産地や原産国の表示義務は課されていない。

 ただし、米国内で生産、飼養、と畜及び処理・加工された牛および牛肉製品の場
合、米農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)の規則に基づき、「US
(品種名:アンガスなど)」、「USAビーフ」、「(州名:カンザスなど)ビー
フ」といった表示を任意に行うことは可能だ。また、同省農業マーケティング局
(AMS)においては、関係業者の求めに応じて、こうした表示の正当性を認証す
る任意のプログラムも実施されている。

 このほかに、もう一つ、「USA産(Product of the U.S.A.)」という任意の
表示も認められている。これは、主に輸出産品について適用されているが、例えば、
他国からの輸入生体牛でも、と畜、処理または加工が国内で施されてさえすれば、
「USA産」と表示し、国内市場で販売することも可能であるとされる。

 これに対し、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、現行制度は不十分であ
るとして、@原産国表示の法的義務化を議会に要請する一方で、AUSDAに対し
ては、義務化に反対するアメリカ食肉協会(AMI)などの関係団体との連名で、
国内で最低100日間育成・肥育された牛由来のものに限り「ビーフ:メイドインU
SA」という表示を適用できるという任意の認証プログラムを別途設けるよう求め
ている。

 一方、NCBAのような組織的な取り組みとは別に、一生産者による自発的な動
きも見られる。これは、関係業者からの参加費を元に、「米国内で生産・飼養され
た牛肉(Beef:Born & Raised in the USA)」という表記入りの星条旗をあしらっ
たロゴマークの認証プログラムであり、先ごろ行われたNCBAの会合で、カリフ
ォルニア州の繁殖・育成経営者がそのアイデアを披露した。

 こうした中で、FSISは、昨年10月に出された議会の指示に従い、現行の任意
表示制度についての新たな規則案に関する事前公告を行った。その内容は、10月9
日までの約60日間に、以下の4つの質問事項に対するパブリック・コメントを募集
するというものである。

(質問1)米国内で肥育された牛ではあるが、生産や育成は他国内で行われたもの
    についても、表示の上で米国産と見なすべきかどうか。
(質問2)牛および生鮮牛肉製品が米国産であることを最も的確かつ適切に知らし
    める表示用語とは何か。
(質問3)事実に即した的確な表示が行われることを確保するため、FSISにお
    いては、どのような認証プログラムが必要か。
(質問4)こうした表示に関する消費者の理解を促進するため、関係業界およびF
    SISはどのような方法をとることができるのか。

 現在のところ、これに対するNCBAの公式見解は明らかにされていない。議会
では、NCBAの求める原産国の義務表示を法制化しようとする動きもある反面、
その信頼性確保のためには、義務的な牛の個体識別(ID)制度を一体的に導入す
べきであるとの強硬意見もある。これに対し、NCBAは自主的ID制度の創設を
志向していることから、原産国表示については任意表示制度の充実を図ることがN
CBAにとって、現実的な選択肢であると言えるだろう。 


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