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【ブラッセル駐在員 山田 理 11月29日発】2001年2月以降のイギリスにおける 口蹄疫(FMD)の発生総数は、2,030件に上っている。しかし、10月1日以降、 新たな発生の報告はなく、一部ではFMDが終息したとの見方も出ている。既に、 同国の一部地域からEU域内への食肉輸出再開も認められた。 こうした中、イギリス食肉家畜委員会(MLC)は先般、同国における2002年ま での牛肉需給見込みを公表した。この中で、FMDによる今後の牛肉需給への影響 が言及されている。 これによると、FMD発生の影響でと畜された牛は、FMD清浄化の殺処分とし て約62万頭、過密飼養を避けるための動物福祉の観点からのと畜・廃棄として約18 万頭の計80万頭(総飼養頭数の約7%)に上ると推計されている。このうち、経産 牛および初妊牛が、全体の4割に当たる32万頭を占めている。 と畜頭数見込み (単位:千頭)
2000年 | 2001年 | 2002年 | |
去勢牛等(食用) (30ヵ月超) |
2,276 | 2,023 | 1,898 |
62 | 62 | 50 | |
経産牛・雄牛 (30ヵ月超) |
910 | 641 | 865 |
注1:2001年以降の数値は予測値 注2:去勢牛等の欄には、未経産牛、若齢雄牛を含む 注3:30ヵ月齢超の牛は、BSE対策として食用に供されず廃棄される。 資料:MLC この結果、食用に供される若齢牛のと畜頭数は、2001年で前年比11.1%減となり、 翌年も同6.2%減とさらに落ち込む見込みである。特に、未経産牛については、多 くが牛群再建のため保留されるとみられることから、落ち込みが顕著になる。今回 のFMD発生が若齢牛のと畜頭数に与える影響は、2003年まで続くものとみられる。 2001年の牛肉生産量は、一部の牛の出荷遅延のため、平均枝肉重量が増加する結 果、前年比10.2%減の63万6千トンにとどまる。しかし、平均枝肉重量が元に戻る 2002年には、同7.4%減の58万9千トンと、と畜頭数の減少率以上に落ち込む見込 みである。 イギリスの牛肉の需給見込み (単位:千トン)
2000年 | 2001年 | 2002年 | |
生産量 | 708 | 636 | 589 |
輸入量 | 205 | 270 | 340 |
輸出量 | − | 0 | 0 |
消費量 | 958 | 916 | 929 |
注:2000年の消費量および2001年以降の数値は予測値 資料:MLC 一方、2001年の牛肉消費量は、FMDのマイナスイメージ等の影響で減少するも のの、2002年には若干回復するとみられる(イギリスの牛肉消費量は、牛海綿状脳 症(BSE)問題により96年以降大きく落ち込んでいたが、2000年にはBSE問題 再燃前の水準に回復している)。 牛肉輸入量は、国内生産の大幅な減少に伴い、2001年および2002年ともに増加す る。南米諸国がFMDの問題を抱えているため、これらの輸出増加分のほとんどが、 アイルランドを始めとした他のEU諸国から供給されると思われる。アイルランド からの輸入は(同国のFMD発生のため)2001年上半期は減少したが、第3四半期 から増加に転じている。EU全体の牛肉消費が約10%程度落ち込んだとみられる中 にあって、イギリスはアイルランドにとって魅力的な市場となっている。
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