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【シンガポール駐在員事務所】小林 誠、宮本 敏行 1.鶏肉輸出が大幅に増加(タイ) タイブロイラー加工輸出協会が公表した1〜9月の鶏肉輸出量は、冷凍鶏肉およ び鶏肉調製品がともに大幅に増加したことにより、前年同期比で36.8%増の31万6 千トンとなった。地域別に見ると、全体の6割を占めるアジア向けが24.9%増の19 万8千トンとなったほか、牛肉や豚肉からの代替需要が進む欧州向けも63.6%増の 11万7千トンとなり、アジア向けの伸び率をはるかに上回る高水準の増加を見せて いる。こうした長期にわたる大幅な輸出増を受け、同協会は、2回目となる今年の 鶏肉輸出予測の上方修正を行い、冷凍品と調整品を合わせた昨年実績より26.2%多 い42万トンと予測している。 2.ミンダナオ、口蹄疫清浄地域に認定(フィリピン) フィリピン南部のミンダナオ島を中心とする地域は、5月27日から6月1日にか けてパリで開催された国際獣疫事務局(OIE)の第69回総会において、ワクチン 不接種口蹄疫清浄地域に認定された。今回の決定により、同国では、畜産物生産余 力のあるミンダナオ島などから、日本など他の清浄国への輸出も可能になるとして、 畜産物の輸出振興に対する期待が高まっている。ミンダナオ島は台風の被害がほと んどない地域として知られており、飼料資源に恵まれていることから生産コストが 低く、年間10万トン以上の豚肉の移出余力を有している。 3.2001年畜産エクスポを開催(マレーシア) マレーシア農業省獣医局は、首都クアラルンプール近郊のマインズ地区にあるマ レーシア国際展示場を会場に、8月27日から30日までの4日間にわたって2001年畜 産エクスポを開催した。農業省は、99年に第1回農林水産業エクスポを開催してお り、今回は、ここから畜産が独立した形となった。今回のエクスポは、マレーシア 獣医協会、マレーシア農業大学、マレーシア畜産農家協会連合(FLFAM)など の協賛を得て、国内の畜産関連企業を中心にアメリカ、オランダなど21ヵ国、約20 0社が参加した。 4.酪農振興を最重点課題に(ベトナム) ベトナムでは、4月下旬に開催された第9回全国会議において、21世紀における さらなる発展への序章として位置付けられ、今後10年間の社会・経済開発計画を含 めた新たな方針が採択された。この新方針を受けて、農業・農村開発省(MARD) では、酪農振興を農業政策上の最重点課題として小規模農家の所得向上を目指す、 新たな畜産振興策を発表した。この振興策は、今後10年間に乳用牛を現在の6倍弱 の20万頭まで増頭し、生乳生産量を同6倍強の35万トン程度まで伸ばすことを目標 としたものであり、総額1兆7千億ドン(約143億円)の予算を計上している。 5.鶏肉の卸売価格が大幅に下落(ミャンマー) ミャンマーでは、飼料費の高騰などを原因として、採卵経営の採算が悪化してい ることから、初生ひなの需要が著しく低下しており、中小種鶏場の多くが生産停止 に追い込まれている。このような中、契約育すう農家で育すう後の卵用若鶏を販売 している、同国ふ卵業大手のミャンマーCP社は、卵用若鶏を肉用として大量に市 場に放出し続けており、卸売市場における鶏肉価格が大幅に下落している。政府は 昨年末から今年1月にかけて全国に畜産連盟を立ち上げ、畜産物の増産・価格安定 に意欲を示しているが、事態の好転には時間がかかるものとみられる。一般経済状 況が悪化している中で、消費者の購買力低下により、全体として供給量が低下しな がら価格が低下し、これがさらに購買力を削減するという悪循環に陥っている。 6.豪州産生体牛の輸入規制撤廃(フィリピン) モンテメーヤー農務長官は2月28日、牛海綿状脳症(BSE)および口蹄疫の侵 入防止を目的とした欧州産畜産物の輸入禁止により、国内の畜産物需要のひっ迫感 が強まることが懸念されるとして、現在行われている豪州産生体牛の輸入規制を撤 廃するとした。併せて、7%の輸入関税を、2年前の水準である3%に引き下げる 考えも明らかにした。フィリピンは昨年6月以来、豪州からの生体牛輸入を前年比 で20%削減しており、今年10月には、ミンダナオ島への生体牛の緊急支援を契機に 前年比5%削減へと緩和していた。 7.肉牛の増頭政策の行方に懸念(インドネシア) インドネシア政府は2005年を目途として、国内で消費する牛肉のほぼすべてを自 給する計画を策定し、その実現に向けて肉牛の増頭計画を遂行している。しかし、 首都ジャカルタへの肉牛の供給基地である東ヌサ・テンガラ州や南スラウェシ州な どのように、経済的な理由による繁殖牛の放出や最新の飼養技術の普及の遅れなど によって、政府の思惑とは裏腹に飼養頭数が減少している地域も少なからず見られ、 増頭策の行方に懸念も広がっている。貧困問題の解決のためにも、その対策の一つ となる肉牛産業の振興に期待が寄せられている。 8.移動禁止解除により豚の価格が上昇(カンボジア) カンボジア政府は1月、タイから輸入された生体豚が疾病に感染しているとして、 生体豚と豚肉の輸入および国内諸県からプノンペン首都圏への輸入を禁止した。し かし、農民からの強い要望により、タイ国境の1県を除く国内各県から首都圏への 生体豚の移動が解禁されたのに伴い、各県の生体豚の価格が大幅に高騰し、移動禁 止前の価格を上回って推移している。しかし、同国農林水産省は、国内には十分な 頭数の豚がいるため、外国からの輸入を解禁するつもりはないとしている。 9.鶏肉消費が大幅増(シンガポール) シンガポールの大手スーパーチェーンによると、2001年1〜2月の鶏肉販売量は、 前年同期を20%以上上回る大幅な増加となった。このような増加の要因について、 販売店では、連日報道されている家畜衛生問題による消費者の牛肉離れに加え、英 国産養殖サケに発がん性のある飼料が給与されていたことが発覚したことが、鶏肉 への代替需要を高めたものとみている。同国は、ほとんどすべての畜産物を輸入に 依存しており、2000年の輸入数量は生体鶏が約4,500万羽、冷凍鶏肉が約8万3千 トンとなっている。 10.生体豚価格安定により国内生産が活発化か(ラオス) ラオス農林省畜水局によれば、同国では、昨年、隣国タイにおけるチャロン・ポ カパン(CP)グループなど大手畜産総合企業による豚の大量放出により、生体豚 価格が前年比20%以上大幅に下落し、同国養豚の損益分岐点を10%以上下回ったこ とから危機に瀕していた。しかし、タイ側の動きが落ち着きを取り戻したことから、 今年中盤に入って回復基調に転じ、損益分岐点付近まで値を戻している。同局は、 畜産を北部諸県の貧困および環境保護対策の柱にしたいとしており、生体豚市場の 安定による養豚の活発化に期待している。
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