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EU科学委、羊に対するBSE検査体制の強化を提言



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 2月15日発】EU科学委員会は2月14日、
現在のところまだ野外発生例が確認されていないが、もしも羊で牛海綿状脳症(B
SE)感染が確認された場合の危険性評価についての報告書を公表した。現時点で
は、人への危険性を評価するのに十分な情報がないとした上で、肉骨粉の給与によ
りEUの羊およびヤギの一部にはBSEの感染の可能性があると指摘し、羊のBS
E感染検査の充実や類似の症状を示すスクレーピーと区別できる羊のBSE迅速検
査方法の開発などが必要と提言した。概要は次のとおり。

 現在までのところ、羊にはBSEの野外発生例は確認されていない。実験室では、
BSEが特定の遺伝子型を持つ羊およびヤギに感染することが示されている。さら
に、羊およびヤギの一部では、特にEU全域で肉骨粉の反すう動物への使用を禁止
する規則(94年)が加盟国により効果的に実施される以前に、BSEに汚染された
肉骨粉の給与が行われていた可能性が高い。このため、98年時点の意見と同様、現
状ではEUの羊およびヤギの一部にBSEが感染した可能性があると言わざるを得
ない。科学委員会は、各国・地域での羊のBSE罹患率を適正に評価するのに必要
な情報収集を開始する必要があると強調したい。特に、@より良い、より徹底的な
羊群検査、A類似の疾病であるスクレーピーと区別できる羊のBSE迅速検査法の
開発、B羊の個体識別制度の導入、C羊・ヤギ群の伝達性海綿状脳症(TSE)の
危険性の現状認定が必要である。

 羊の給餌方法は、未群、国・地域、飼養方法(集約的または粗放的)、飼養目的
(食肉、ミルク、羊毛)によって、大きく異なっている。現在羊においてBSEを
確認できる唯一の検査法は、マウスを使った生物検定で、検査結果が出るまでに2
年かかる。これまでに検査が完了したものはごくわずかである。臨床症状から、B
SEと人へ感染の危険のないスクレーピーを鑑別することは困難と思われる。スク
レーピーは大部分のEU諸国でまん延しており、より良い検査法の開発に向けた研
究が進められている。

 科学委員会では、BSEを実験的に感染させた羊およびヤギにおける組織ごとの
感染性分布についても検討した。BSEに感染した羊では、病気の進行がスクレー
ピーに類似し、広範な組織で感染性を示すようであり、感染が脳や脊髄など特定部
位に限られる牛とは異なった結果が得られた。このため、もしも羊でBSE発生が
確認されれば、牛に比べより多くの組織を食物連鎖から排除しなければならないと
考えられる。

 EUでは既に予防的な措置として、昨年10月から、羊およびヤギの組織のうち、
BSE感染源となる可能性の高い部位(12ヵ月齢を超える羊およびヤギの頭がい
(脳および眼を含む)、扁桃および脊髄、さらにすべての月齢の羊およびヤギの脾
臓)の除去が義務付けられている。もしも羊およびヤギにBSEの発生が確認され
た場合には、今年7月から施行される見込みである、議会および理事会による新た
な共同規則を適用し、厳しい疾病撲滅対策をとる必要があると考えられる。


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