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【ブラッセル駐在員 山田 理 1月11日発】EU統計局(EUROSTAT) は、先般、各加盟国から報告を受けたデータに基づき、豚の飼養頭数および豚 肉生産予測を公表した。今回公表された資料は、2000年4〜6月時点(15ヵ国) および8月時点(4ヵ国、ベルギー、デンマーク、スペイン、オランダ)の豚 の飼養頭数と、2001年第2四半期までの豚肉生産予測である。 これによると、EU15ヵ国の2000年の豚肉生産量は、と畜頭数ベースで前年 比2.1%減の2億588万頭としている。トレンドで見ると生産量は依然高水準で あることから、相対的にはしばらく減少傾向が続くものと予測している。
EUの豚肉生産量(予測)
(単位:千頭、%)
2000年 |
2001年 |
|||
生産量 | 前年比 | 1〜3月 | 4〜6月 | |
EU15ヵ国 | 205,880 | ▲ 2.1 | ▲ 2.5 | ▲ 0.5 |
ドイツ | 40,430 | ▲ 3.7 | ▲ 3.5 | ▲ 0.7 |
スペイン | 36,156 | 0.8 | 2.0 | 3.6 |
フランス | 26,647 | ▲ 1.5 | ▲ 1.9 | ▲ 1.5 |
デンマーク | 22,935 | 0.3 | 1.7 | 7.8 |
オランダ | 22,859 | ▲ 2.8 | ▲ 8.6 | ▲ 9.5 |
イギリス | 12,715 | ▲ 1.6 | ▲ 10.6 | ▲ 2.4 |
資料:EUROSTAT 国別に見ると、EU最大の豚肉生産国であるドイツをはじめ10ヵ国で前年を下 回った。14年ぶりの豚コレラの発生やポンド高・ユーロ安基調の為替相場の影響 で域内からの豚肉流入が増加するイギリスでは、同13.6%減となった。対照的に、 飼料や労賃などのコストが比較的低く、かつ、豚肉の消費量も増加しているスペ インでは、依然として生産が増加している。 2001年第1四半期のEU15ヵ国の豚肉生産量は前年同期比2.5%減、第2四半期 は同0.5%減、この結果、2001年上半期では同1.5%減と引き続き減少傾向で推移す ることを予測している。なお、98年末から99年前半にかけての記録的な豚肉価格暴 落を受けて、その後、繁殖豚を中心に飼養頭数が減少したことから、豚肉生産量は 99年第3四半期以降減少傾向で推移している。 2001年上半期の生産量を国別に見ると、主要生産国の間で明暗がはっきりと分か れている。スペインは前年を若干上回るとみられているほか、デンマークが好調な 輸出を背景に生産を大幅に伸ばすと予測している。 また、ドイツやイギリスでは、生産減少が続くものの、繁殖豚の整理、とう汰が 一服したことから、生産量の減少幅は縮小するとみている。一方、オランダでは、 深刻な畜産環境問題に対処するため、政府主導による養豚農家の離農が推進されて おり、これが生産減少に拍車をかけている。 価格動向については、今回の予測では、生産量が高水準であることから、需給が 緩和基調に転じる可能性もあるとしているが、一般的には、豚肉生産量の減少を受 けて、2001年の豚肉価格は堅調に推移すると期待されている。また、昨今のBSE 騒動の影響で、食肉消費が牛肉から豚肉などにシフトすることが見込まれ、これも 豚肉価格を押し上げる要因の1つになりうるものとみられている。
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