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米、加、暫定的にアルゼンチンなどの牛肉輸入解禁



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 1月18日発】米国とカナダは2000年12
月から2001年1月にかけて、アルゼンチンとウルグアイからの牛肉輸入を条件付き
で暫定的に解禁することを決定した。アルゼンチンとウルグアイにとっては、昨年
相次いで発生した口蹄疫問題以降、閉ざされていたNAFTA市場に対し、ようや
く希望の光が指した。

 国別の状況は次のとおりである。

(ウルグアイ) 
 米国が2000年12月12日にウルグアイ産牛肉の輸入を条件付きで解禁したのに続き、
カナダが同年12月20日、同様に輸入を解禁した。これで、口蹄疫問題でウルグアイ
産牛肉の輸入を禁止している主要輸入国は、メキシコ、日本、韓国の3ヵ国(牛肉
輸出量の約15%を占める)となる。

 米国、カナダの解禁は条件付きの暫定的な解禁であり、例えば、米国は今回口蹄
疫の発生があったブラジル国境のウルグアイ北部アルティガス県で生産された牛肉
輸入を引き続き禁止する地域主義の措置をとっている。また、輸入の条件として、
解禁後の1年間は定期的にウルグアイの食肉処理加工施設を実地、書類の両面から
検査し、口蹄疫の侵入を水際で防ぐこととしている。カナダも同様の措置をとると
いわれている。

 ウルグアイの牛肉輸出は、2000年10月末の口蹄疫の発生で主要な輸出先との取引
が中断した。99年と2000年の牛肉輸出量(枝肉ベース)、輸出額(FOBベース)
を同期比較(1月〜11月)すると、99年は21万5千トン、3億346万ドル(約361億円
:1ドル=119円)、2000年は24万7千トン、3億3,772万ドル(約402億円)とそれ
ぞれ15%、11%増加している。これは2000年11月以降の輸出量は落ちたものの、99
年末の干ばつの影響で2000年に入り飼育が不可能になった肥育牛が大量に出荷され
売り先を探したことによる。

(アルゼンチン)
 米国が2000年12月22日にアルゼンチン産牛肉輸入を条件付きで解禁したのに続き、
カナダが2001年1月11日、同様に輸入を解禁した。

 99年8月に口蹄疫の抗体陽性牛が発見され、自主的に輸出を中止したアルゼンチ
ンだったが、4ヵ月経ても解禁が解ける兆しがなく業界の不安が募っていた。

 米国の解禁はウルグアイの場合と同様、条件付き、かつ、暫定的で、アルゼンチ
ンの、パラグアイ、ブラジル、ボリビア、ウルグアイ国境地帯で飼育された牛から
の牛肉輸入は禁止し、政府公認の獣医師がそれら地域で生産された牛でないことを
証明することを義務づけている。カナダもある一定の衛生条件の下で輸入を再開す
るようである。

 口蹄疫問題が後に起こったウルグアイより解禁が遅れたことについて、政府の交
渉不足などが指摘されているが、ウルグアイとの大きな違いは、アルゼンチンはま
だ米国、カナダと2国間衛生協定を締結していない点にある。今年3月に今回の解
禁措置の条件について見直されるが、米国は口蹄疫問題以前の輸入条件よりさらに
厳しい条件を課してくることも予想される。

 また、今回の解禁に伴い、アルゼンチンは米国産骨なし豚肉の輸入解禁に合意し、
骨付き豚肉についても検討している。米国が今回の牛肉解禁の交換条件として提案
したとの情報もある。


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