ALIC/WEEKLY
【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 1月24日発】ブラジル鶏肉輸出業者協 会(ABEF)が発表した輸出動向(速報値)によると、2000年1〜12月の鶏肉輸 出量(骨付きベース。以下同じ)は、過去最高を記録した前年を17.7%上回る約90 万7千トンとなった。一方、輸出額(FOBベース。以下同じ)は約8億600万ド ル(約943億円:1ドル=約117円)と前年を8.0%下回った。 形態別には、丸どりが前年比11.4%増の47万トンであったのに対し、パーツは25 .3%増の43万6千トンと大幅に増加した。全体に占めるパーツの割合は前年比で2. 9ポイント上昇し、48.1%となった。 地域別に見ると、丸どりの主要市場である中東向けは、前年比10.1%増の37万ト ンとなったが、全体に占める割合は前年に比べ2.8%ポイント低下し40.8%となっ た。これは、ブラジル鶏肉業界が価格低下の著しい同地域向け輸出を手控えたため で、同国最大の輸出相手先であるサウジアラビア向け丸どりは4.5%減の19万8千 トンとなった。 中東に次ぐ輸出地域でパーツの主要市場であるアジア向けは、前年比13.6%増の 26万9千トンとなった。国別では香港向けが10.9%増の11万3千トン、日本向けが 8.7%増の10万9千トンとなった。特に、中国向けは1万9千トンと前年に比べ倍 増した。EU向けを見ると、前年比49.5%増の13万2千トンと大幅に増加した。形 態別には、全体の9割以上を占めるパーツが50.6%増の12万3千トンとなった。国 別には、ドイツ向けが57.6%増の3万トン、イギリス向けが50.5%増の2万5千ト ン、オランダ向けが2倍の3万9千トンと、いずれも大幅に増加しており、EU向 け輸出が躍進する原動力となった。 一方、地域別で唯一前年を下回ったのは南米南部共同市場(メルコスル)向けで、 前年比20.0%減の4万2千トンとなった。これは、アルゼンチン政府が2000年7月 下旬、ブラジル産鶏肉丸どりに対しアンチダンピング税を賦課したことが最大の要 因で、アルゼンチン向け丸どりは21.3%減の3万6千トンとなった。 その他の地域では、アフリカ向けが前年比58.9%増の3万5千トンとなった。特 に、丸どりは83.1%増の2万3千トンと大幅な伸びを示し、中でも、アンゴラ向け が2.6倍の1万7千トンと大幅に増加した。また、ロシア向けは、2.1倍増の2万1 千トンとなり、形態別では、丸どりが同2.1倍増の1万4千トンとなった。 なお、ABEFは、2001年の鶏肉輸出動向について、輸出市場価格が回復傾向に あること、国産トウモロコシの増産が見込まれていること、EUで2000年10月、フ ランスを端緒とする牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃により牛肉需要が低下し、 その代替として鶏肉需要が増加していることなどから、輸出量が100万トン、輸出 額が10億ドル(約1,170億円)に達する可能性もあるとみている。
元のページに戻る