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増加するブラジルのトウモロコシと大豆輸出



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 6月27日発】ブラジルは、世界のトウ
モロコシ生産の約5〜6%を占めるが、養鶏、養豚などの畜産業を中心としたトウ
モロコシの大消費市場が形成されていることなどから、近年は、国内消費量の一部
を輸入に依存してきた。しかし、今年は、記録的な増産見込みなどから輸出量が増
大している。

 国家食糧供給公社(CONAB)が公表した穀物生産予測(2001年5月14日現在)
によると、2000/01年度(2001年2月〜2002年1月)のブラジルのトウモロコシ生
産量は、生育条件に恵まれたことから、前年度比22.3%増の3,869万トンと見込ま
れている。

 CONABによると、2001年1〜4月の輸出量は、前年同期に比べ約400倍の81
万9千トンに達している。国別に見ると、スペイン向けが全輸出量の3分の1に相
当する27万3千トン、次いで多い韓国向けが7万8千トン、日本向けが4万3千ト
ンとなっている。また、同年1〜4月の輸入量は、前年同期比40.8%減の40万トン
となったが、トウモロコシの主生産地域から遠い北東部など一部の地域では、他の
地域に比べ、国内の輸送コストが割高になることなどから、依然としてアルゼンチ
ンなどからの輸入依存度が高いとされる。

 ブラジルの大手調査会社では、2001年のトウモロコシ輸出量について、6月12日
までにトウモロコシの主要積み出し港であるパラナ州のパラナグア港だけでも船積
み数量が約160万トンに達していることから、約260万トンと見込んでいる。こうし
た増加が見込まれるのは、国産トウモロコシの供給過剰に加え、ブラジルでは遺伝
子組み換え作物の商品化が正式には承認されていないこと、自国通貨レアルが安値
で推移する為替動向、トウモロコシの国内生産者価格の低迷などが輸出を促進して
いるためとされる。

 大手調査会社によると、飼料向けとなるトウモロコシの2001年の国内消費量は、
前年比4.2%増の2,637万トンと見込まれている。経営形態別に見ると、養鶏部門が
5.4%増の1,348万トン、養豚部門が3.1%増の859万トンなどとなり、このような増
加傾向は、鶏肉および豚肉輸出の増加予想を主に反映したものであるとしている。

 また、CONABが公表した穀物生産予測(2001年5月14日現在)によると、20
00/01年度(2001年2月〜2002年1月)のブラジルの大豆生産量は、前年度比11.2
%増の3,597万トンと見込まれている。

 大豆製品の輸出量の推移を見ると、2000年の大豆輸出量は、前年比29.2%増の1,
152万トンとなり、輸出先は、オランダ、中国、スペイン、ドイツ、日本などであ
る。2001年1〜4月では、前年同期比45.2%増の328万トンと増加している。一方、
2000年の大豆かす輸出量は前年比10.1%減の938万トンとなったが、2001年1〜4
月の輸出量は、主要な輸出先であるEUにおいて、肉骨粉の飼料利用禁止措置によ
り代替飼料として大豆かすの需要が増加したことなどから、30.8%増の302万トン
となった。なお、CONABでは、2001年の輸出量について、大豆が8.5%増の1,2
50万トン、大豆かすが12.0%増の1,050万トンと予測している。


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