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家畜伝染病をめぐるEUの動き



【ブラッセル駐在員 山田 理 6月28日発】
−口蹄疫に対するEUの規制措置、イギリスを除き完全解除−
 オランダ農業自然管理漁業省は6月25日、同国内における口蹄疫の終息を宣言す
るとともに、わずかに残っていた口蹄疫に関する規制措置についても翌26日から解
除した。

 同国では、3月21日から計26件の口蹄疫の発生が確認されているが、4月23日以
降は新たな発生は確認されていない。このため、監視区域などの解除など、規制措
置も徐々に解除されていた。

 今回解除された規制措置は、@口蹄疫に感受性のあるすべての動物およびこれら
から生産された畜産物のウーネ周辺の監視区域からの移出禁止、A羊およびヤギの
国外への輸出禁止の2つである。

 これにより、既に規制措置がすべて解除されているフランス(4月13日)、アイ
ルランド(4月20日)、北アイルランド(6月7日)を含めて、EUとしての口蹄
疫に関する規制措置は、いまだに口蹄疫の発生が続いているイギリス(グレートブ
リテン)を除き完全に解除された。

 なお、アイルランド、北アイルランドでは、このEU決定を受けた後も、グレー
トブリテンからの侵入防止のため、独自の防疫対策を実施している。

―口蹄疫の散発が続くイギリス―
 最初の発生から4ヵ月経過したが、イギリス(グレートブリテン)の口蹄疫の発
生がいまだに続いている。1日当たりの発生件数は、ピーク時と比較して大幅に減
少したものの、24日までの7日間では平均3件となっている。総発生件数も28日ま
でで1,791件に上っている。

−スペインにおける豚コレラ−
 スペイン農漁業食料省は6月14日、南東部カタルーニャ地方のレリダ県で豚コレ
ラが発生し、発生農場を中心に半径3kmの防疫区域および半径10キロの監視区域
を設定したことを明らかにした。これを受けて、EU常設獣医委員会(SVC)は
同日、同国の発生地域から生体豚、精液、卵子および受精卵を輸出禁止とするEU
委員会提案を採択した。

 さらに、22日までに7件(レリダ県6件、カステヨン県1件)の発生が確認され
たことから、SVCは同日、生体豚などの輸出禁止措置を7月15日までに延長する
とともに輸出禁止区域を拡大する提案を採択した。この結果、生体豚などの輸出が
禁止される地域は、@カタルーニャ地方:レリダ県、バルセロナ県、タラゴナ県、
Aバレンシア地方:カステヨン県に拡大された。

 なお、これらの対策は、7月10日開催予定のSVCの次回会合で、発生状況を勘
案し見直される見込みである。

 スペインにおける豚コレラの発生原因については現在調査が進められているが、
東欧からの生体豚の密輸が関係しているとの指摘がある。密輸は4月末から5月初
めにかけて行われたとみられており、今後の感染拡大の危険性が懸念されている。


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