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【シドニー駐在員 幸田 太 6月28日発】豪州連邦政府は6月21日、すべての 遺伝子組み換え(GM)作物などを規制する遺伝子技術法(Gene Technology Act 2000)を施行した。この法律は、昨年12月8日に上院で可決されたが、内容が不十 分とする野党の要請により、具体的内容について検討を重ねた結果、約半年の期間 を経て施行された。 この法律の具体的内容は、@遺伝子技術規制局(GTR)の新たな設立(会計検 査院や国税局と同等の独立機関として暫定的機関から変更する)、AGTRの諮問 機関として科学委員会(遺伝子組み換え諮問委員会(GMAC)から移行、科学的 な見地から専門的なアドバイスを行う)、倫理委員会(倫理上のガイドラインの設 定についてアドバイスを行う)および共同委員会(政策ガイドラインの決定)の設 立、BGRTによるすべての遺伝子組み換えに関する認可と取り引きの規制(研究、 製造、生産、商業活動、輸入に対する届け出、登録、認可)、C人体および環境に 対する遺伝子組み換えの危険度の評価(大衆に対する遺伝子組み換えについての認 識の確立)、D同法の順守状況の調査、E認可されるすべてのGM食品などのデー タ(研究・生産地、販売実績)のインターネットでの一般公開となっている。 ウードリッチ保健相は、遺伝子技術法について、世界で最も厳しく、公正なもの であると自信のほどを述べている。 また、同法の違反者には、最高で罰金110万豪ドル(約7,150万円:1豪ドル=65 円)もしくは、10年以下の禁固刑が科せられるという厳しいものとなっている。 しかし、同法には、その危険度が少さいものや商業上の秘密保持の必要があるも のは、GTRに認められれば、データの公開を免除される規定も設けられており、 法律の抜け穴が残されることが懸念されている。 今年2月には、GM作物の実験栽培などを州の法律に基づいて昨年から1年間禁 止しているタスマニア(TAS)州において、一部実験素材の取扱方法がガイドラ インに違反したとして、栽培実験を行っていた大手農業科学研究会社が、この時点 では暫定機関であったGTRにより摘発された。栽培実験の事実さえ把握していな かったTAS州議会は、その実験地などの公表を求め追求したが、その時点では公 開させるための権限がないとされ、公開を見送った経緯がある。25日現在およそ60 社からの非公開申請を受けているとされるGTRが、それらの申請を受理しデータ を非公開とするかどうかその行方が注目されている。 いずれにしても、今、注目されているGM作物などについて、研究、生産、販売 のルールが示されたことになり、今後、各州ごとに法制化されて行くこととなる。 この法律が、その目的である消費者の健康と安全を遺伝子組み換えの危険性から 保護するものとなり得るか否か今後の動向に注目したい。
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