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【ブラッセル駐在員 山田 理 7月12日発】EU委員会は7月12日、2001〜20 08年までの穀物、食肉およ牛乳・乳製品など主要農畜産物に関するEUおよび中東 欧の加盟候補国における需給予測を公表した。この予測は2001年5月までに入手可 能な統計に基づいて作成されたものである。 EU(15カ国)の主要畜産物の需給予測は、次の通りである。 (単位:千トン)
品目 | 生産量 | 消費量 | 在庫量 | |||
2001 | 2008 | 2001 | 2008 | 2001 | 2008 | |
牛肉 | 8,140 | 7,845 | 6,877 | 7,540 | 435 | 244 |
豚肉 | 17,652 | 18,850 | 16,712 | 17,691 | − | − |
鶏肉 | 8,916 | 9,954 | 8,432 | 9,534 | − | − |
生乳 | 114,300 | 114,800 | − | − | − | − |
チーズ | 7,048 | 7,533 | 6,997 | 7,481 | 120 | 120 |
バター | 1,798 | 1,806 | 1,750 | 1,668 | 87 | 171 |
脱紛 | 1,001 | 891 | 866 | 728 | 0 | 79 |
(注)食肉は枝肉ベース、生乳は乳業会社への出荷量、在庫量は期末のもの。 牛肉生産は、2000年末に再燃した牛海綿状脳症(BSE)問題により、停滞して いた出荷が2001年にずれ込んだため、2001年は前年比で9.4%増加する。2002年以 降はキャトルサイクルの下降局面に入るため減少に転じ、その後、2004年〜05年を 底に再び増加に転ずる。 牛肉消費は、BSEの影響により消費者の牛肉離れが進んだため、2001年には99 年に比べて10%減少する。しかし、消費は徐々に回復し3〜4年後にはこの影響か ら脱するとみられる。 牛肉在庫は、口蹄疫による殺処分や廃棄のための買上計画により38万トンが市場 から隔離・排除されるが、消費量と生産量に大きなギャップがあるため、2001年末 には43万トン、2003年末には74万トンに増加する。その後、消費の回復に伴って在 庫量は徐々に減少するものの、2008年末でも24万トンの在庫が残るとみられる。 豚肉生産は、価格の回復から増加に転じ、2001年は前年比0.5%、2002年には同 2%増になる。その後、増加率は縮小するが、緩やかな増加は続くとみられる。消 費はBSE問題により、牛肉から豚肉、鶏肉へシフトすることもあり、鶏肉に及ば ないものの緩やかに増加するとみられる。 鶏肉生産は、堅調な需要を背景に順調に増加する。消費は、@BSE問題による 代替需要の増加に加え、A消費者のし好が強くなっていること、B価格面で他の食 肉より優位にあることから、引き続き増加する。また、支持価格の引き下げにより 飼料穀物価格の低下が見込まれることから、価格競争力は一層強化される。 生乳生産は、生乳生産枠(クオータ)の下で、乳脂肪率の上昇に伴い、2004年ま でわずかではあるが減少する。その後、2005年からのクオータの拡大を受けて若干 増加する。 チーズ生産は、需要拡大に伴い引き続き順調に増加するが、過去と比較するとそ の増加率は緩やかなものになる。また、消費も同様に緩やかに増加する。 脱脂粉乳生産は、需要の低下および他の乳製品(チーズなど)の生産増により、 高い価格水準にも関わらず引き続き減少する。消費は、食品向けは安定するが、飼 料穀物価格の低下などにより飼料用需要が減少するため、消費全体としても減少は 避けられない。この結果、2001年には在庫が一掃されるものの、2006年以降は徐々 に在庫が増加するとみられる。
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