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【シドニー駐在員 幸田 太 7月12日発】豪州統計局(ABS)が先ごろ発表 した数値によると、豪州全体の5月のと畜頭数は、740,506頭で同月のと畜 頭数としては、1991年以来の高水準となった。内訳は雄374,866頭(前 年同月比21%増)、雌365,640頭(同29%増)でありすべての州におい て前年同月を上回った。 2001年1〜5月までの累計を見ると、豪州全体のと畜頭数は320万頭に達 した(前年同期比4%増)。 このうち雄のと畜頭数は160万頭(同6%増)となっており、中でもクインズ ランド(QLD)州の増加割合が大きい(同18%増)。豪州食肉家畜生産者事業 団(MLA)は、近年QLD州で生産が活発化している要因として、同州のと畜処 理能力が増加していることを挙げている。反対に、2001年1〜5月の累計では、 ニューサウスウエールズ(NSW)州、ビクトリア(VIC)州、タスマニア(T AS)州でのと畜は減少した。 一方、1〜5月の雌牛と畜頭数は、豪州全体で(前年同月比2%増)とわずかな 伸びを示しているが、QLD州で減少(同6.5%減)、NSW州(同6.5%増)、 VIC州(同9%増)では増加した。 また、と畜頭数の増加によって、5月の牛肉生産量は836,662トンとなっ た。1頭当たりの平均枝肉重量は、263.4kgとなり、前年同月比で3kgの 増加となっている。中でもフィードロットからの出荷牛は、286.6kgとなり 同5.3kgの増加となった。 と畜頭数や牛肉生産量が伸びた背景には、豪ドル安等による牛肉輸出の増加に伴 い、一昨年以降肉牛価格の高値が続いていることがあり、今年の肉牛価格は史上最 高値を次々に塗り替えている。7月第1週の平均肉牛取引価格は、生体重当たり1 78豪セント(約46円:1ドル=65円)/kgとなり、仮に1頭の生体重が450k gとすると1頭801豪ドル(約5万2千円)になる。前年同週の128豪セント /kg(約83円)(1頭当たり576豪ドル(約3万7千円))と比べると約39 %の上昇である。 こうした中で、国内価格に影響を与える要因として、生体牛輸出がある。200 0/01年度(7〜6月)の前半は、前年度を上回り順調に推移していたが、国内生 体牛価格の高値を受けて、今年に入りアジア諸国への生体牛輸出が落ち込んでいる。 これには輸出相手国の政情不安、通貨安などの要因もある。特に昨年1〜5月累計 で約10万頭を輸出したフィリピンへの輸出が、今年の1〜5月現在で3万8千頭 と減少している。MLAによると、全生体牛輸出頭数は前年比で約5万頭の減とさ れている。 これらの結果からQLD州や北部準州を中心とする豪州北部地域では、生体牛輸 出の減少が国内供給の余力を生んでおり、NSW州、VIC州を中心とする南部地 域では、雌牛を保留し繁殖に力を入れるよりも、現在の高値で販売している。雌牛 のと畜頭数の増加は、高値が続く国内価格をどのような方向に向かわせるのか今後 の動向に注目したい。
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