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EUにおけるBSE検査状況



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 7月18日発】ギリシャ農業省は7月3日、同国
で初めての牛海綿状脳症(BSE)感染が確認されたと公表した。これは、本年1月
からEUで義務付けられたBSE検査において確認されたものである。国際獣疫事務局
(OIE)への報告によると、同国では7月1日までに、6,700頭についてBSE検査が実
施され、96年11月生まれの(見かけ上)健康な牛1頭で感染が確認された。今のと
ころ感染経路は不明である。

 また、EU委員会は7月2日、2001年1〜5月にEU加盟各国で実施されたBSE検査結
果を取りまとめ公表した。

 検査対象区分ごとの検査結果は、次の通りである。なお、区分内容については、
国によって月齢など検査対象基準が異なる場合がある。また、本年7月からは、BSE
検査対象範囲が拡大され、リスクのある牛の対象月齢の引き下げ(30ヵ月齢→24ヵ
月齢)および30ヵ月齢を超える健康な牛の全頭検査が実施されている。

1)BSEが疑われた牛
 (検査数:1,941、陽性数:366)
 臨床症状からBSEが疑われた場合、確定診断のため、当該牛の脳などが検査され
る。

2)リスクのある牛
 (検査数:212,273、陽性数:111)
 30ヵ月齢を超える牛で、獣医師の判断により緊急と畜された牛およびと畜場で食
用に不適と判断された牛は、全頭検査される。さらに、30ヵ月齢を超える牛で、農
場内または輸送途中に死亡し食用にならない牛については、一定数が無作為抽出・
検査される。

3)健康な牛
 (検査数:2,382,685、陽性数:90)
 食用に処理される30ヵ月齢を超える牛は、BSEの危険性の低い国(オーストリア、フィンラン
ド、スウエーデン)を除き全頭検査される。また、BSE感染の危険性の高い30ヵ月齢を超
える牛を食用にせず、と畜・廃棄する場合について、一部の国ではこれらの牛も検
査されている。

4)BSE撲滅のためのと畜牛
 (検査数:26,689、陽性数:4)
 BSE感染牛の子牛、感染牛と同一環境で育った牛、同一飼料を与えられた牛に
ついては、感染の可能性があるため、と畜し検査されている。 

                                  BSE検査結果(2001年1〜5月)

国 名

2歳を超
える牛の
頭数(a)
(百万頭)

BSEが疑われた牛

リスクのある牛

健康な牛

BSE撲滅のためのと畜牛

検査数

陽性数
(未確
定数)

検査数

陽性数
(未確
定数)

検査数

陽性数
(未確
定数)

検査数

陽性数
(未確
定数)

ベルギー
デンマーク
 ドイツ
ギリシャ
スペイン
フランス
アイルランド
イタリア
ルクセンブルク
オランダ
オーストリア
ポルトガル
フィンランド
スウェーデン
イギリス

1.5
0.9
6.6
0.3
3.4
11.0
3.4
3.4
0.1
1.8
1.0
0.8
0.4
0.7
5.3

128
48
143
3
300
311
231
3
12
67
0
206
1
5
483


1(2)
2
0
6
47
49
0
0
2
0
21(25)
0
0
235(110)

2,215
5,376
114,840
404
10,304
16,203
3,545
19,962
829
14,298
3,996
1,891
6,504
10,917
989(b)

1
0
46
0
16(10)
14
4
5
0
4
0
8(29)
0
0
13(37)

122,416
100,549
868,541
4,717
96,312
801,844
84,458
90,541
8,990
120,873
77,714
3,798
1,761
0
171(b)

11
0
18
0
22
25
2
10
0
2
0
0(1)
0
0
0

1,314
2,103
12,046
0
2,030
2,949
3,489
732
0
885
0
1,141
0
0
0(b)

0
1
2
0
1
0
0
0
0
0(299)
0
0
0
0
0

合計

40.8

1,941

366(137)

212,273

111(76)

2,382,685

90(1)

26,689

4(299)

資料:EU委員会(7月2日公表)
(a):EU統計局資料  注(b):グレート・ブリテンのみ


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