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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 7月25日発】ブラジル豚肉生産輸出業協 会(ABIPECS)が公表した2000年の豚肉需給動向によると、と畜頭数が前年 比6.0%増の2,490万頭、生産量(枝肉換算ベース)が7.3%増の196万7千トンとな った。人口約1億7千万人もの大消費市場を抱えるブラジルでは、生産量の約94%に 当たる184万1千トンが国内消費に向けられる。 ブラジルの豚肉生産は、同国の穀倉地帯で、インテグレーションが進む南部を中 心に行われている。ABIPECSがまとめた豚の州別と畜頭数とシェアを見ると、 サンタカタリナ(SC)州が597万頭(24.0%)、リオグランデドスル(RS)州 が362万頭(14.5%)、パラナ州が257万頭(10.3%)と南部3州が全と畜頭数のほぼ 半分を占めている。 近年における輸出の推移を見ると、生産量に占める輸出量の割合は、4〜6%程度 であるが、生産量の増加に伴い、輸出量は年々増加している。ABIPECSによ ると、2000年の輸出量(製品重量ベース、ラードおよび内臓を含む)は、95年と比 べ、約3.5倍の12万8千トンに増加した。主要輸出先を見ると、香港向けが4万9千5 百トン、アルゼンチン向けが3万7千トン、また、前年の輸出実績が数十トンであっ たロシア向けが2万3千トンとなっている。ロシア向け輸出が急増した主な要因とし て、同国経済が回復し、需要が拡大する中で、米国によるロシア向けの豚肉援助輸 出やEUによる同国向けの豚肉に対する輸出補助金がストップしたことなどが挙げ られている。 さらに、2001年1〜5月の輸出量は、前年同期と比べ約2.4倍の9万4千トンと大幅 に増加した。中でも、ロシア向けは前年同期の約60倍となり、すでにこの間に前年 の倍の4万7千トンに達し、最大の輸出先となっている。この要因として、業界では、 EUにおける牛海綿状脳症(BSE)および口蹄疫問題の影響で、ブラジル産豚肉の 需要が高まったことが大きいとみている。また、ロシアに次ぐ輸出先として香港向 けが、前年同期比15.3%増の2万トンとなった。 しかし、現地紙によると、香港へ輸出された豚肉の大部分は中国に再輸出される と見られているが、その中国がブラジル産食肉輸入を停止したことから、香港では 6月に入り、大量のブラジル産豚肉の在庫が発生しているとされる。 2001年の輸出量は、ABIPECSでは、約22万トンと見込んでいる。RS州に おける口蹄疫の再発、中国によるブラジル産食肉輸入停止措置などの懸念材料はあ るものの、自国通貨レアルが安値で推移する為替動向、EUにおけるBSEおよび 口蹄疫問題、ブラジルにおける口蹄疫ワクチン接種清浄地域の拡大などといった国 内外の情勢がブラジル産豚肉輸出拡大を後押しするものと期待されている。
平成13年7月24日号(通巻第492号)とあるのは、(通巻第493号)の誤りでした。お詫びして訂正します。 |
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