ALIC/WEEKLY
【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 5月30日発】ブラジル鶏肉輸出業者協 会(ABEF)がとりまとめた輸出動向(速報値)によると、2001年1〜4月の鶏 肉輸出量(骨付きベース。以下同じ)は、37万4千トンとなり、前年同期比35.8% 増と大幅に増加した。 これを形態別に見ると、丸どりが17万4千トンで18.5%増、パーツが20万トンで 55.6%増となっており、パーツの大幅な伸びがうかがえる。 全体の約4割を占める中東向けは、26.8%増の14万3千トンとなった。最大の輸 出先であるサウジアラビア向けは、11.9%増の7万9千トンとなり、アラブ首長国 連邦向けは、74.9%増の1万5千トンと大幅に増加した。 欧州での牛海綿状脳症(BSE)問題などで牛肉消費が低下したEU地域を見る と、ドイツ向けが4.5倍の2万6千トン、オランダ向けが2.4倍の2万1千トン、イ ギリス向けが2.4倍の1万4千トンといずれも飛躍的に増加した。 アジア地域では、香港向けが16.2%増の4万4千トン、シンガポール向けが30.6 %増の1万1千トンとそれぞれ増加した。しかし、日本向けは、欧州への輸出が拡 大したことなどから、11.5%減の3万5千トンと減少したとみられる。 新興市場への輸出で顕著な増加が見られたのはロシア向けで、30.7倍の1万9千 トンとなり、うち約7割が丸どりで占められた。 ABEFによると、新興市場への進出を図る動きとして、ブラジルの大手食品会 社であるサジア社とペルジゴン社が4月下旬、両社の共同出資による輸出会社BR Fトレーディング・カンパニー社の設立を発表した。 新会社は、新興市場の開拓に当たり、両社が協調関係を保つことでコストの軽減 を図り、競争力のある鶏肉および豚肉製品を当該市場へ供給することを主な狙いと して設立されたもので、既存市場にあっては、従来通り、両社間の競争が継続する ことになる。新会社が対象とする主な市場は、ロシア、エジプト、南アフリカ、ア ンゴラ、キューバ、ドミニカ共和国、イラン、イラク、ヨルダンなどで、今後の輸 出展開が注目されている。 なお、アルゼンチンとの鶏肉貿易については、同国政府が昨年7月下旬、ブラジ ル産鶏肉丸どりに対しアンチダンピング税を賦課して以来、同国向け鶏肉輸出量が 激減しているが、2001年1〜4月では前年同期比55.8%減の8千トンとなった。 現地報道によれば、ブラジル政府は、アルゼンチン政府が導入したアンチダンピ ング措置の見直しを求め、メルコスルの紛争処理機関に問題の解決を委ねていたが、 同機関が 今年5月下旬、ブラジル側の要請を退ける裁定を下したとされる。 ブラジル政府は、メルコスル内での解決が図られない場合、世界貿易機関(WT O)に提訴する意向を表明しているが、提訴の具体的時期などについては明らかに されていない。
元のページに戻る