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肉牛と酪農で農家経営収支に明暗(豪州)



【シドニー駐在員 幸田 太 5月31日発】豪州農業資源経済局(ABARE)
は5月18日、2000/01年度(7〜6月)の農業経営動向調査報告書を公表した。こ
れによると、肉牛専業経営は好調な肉牛価格を背景に、経営収支が黒字になると予
測されている。一方、酪農経営収支は、酪農乳業改革による飲用向け乳価の下落に
より、赤字に転落し厳しい状況が予測されており、対照的な結果となっている。

 この調査は、ABAREが肉牛、羊、穀物および酪農の生産者のうち、農業生産
施設評価額2万2,500豪ドル(約140万円:1豪ドル=62円)以上の者を対象に、毎
年、全国規模で実施しているもので、これらの経営動向を把握する上で重要な指針
となっている。

 肉牛経営は主に肉牛専業、肉牛・羊複合および穀物・肉牛複合の3つのカテゴリ
ーに分類されているが、このうち肉牛専業が肉牛飼養頭数全体の約60%を占めてい
る。

 報告書によると2000/01年度の肉牛専業の平均現金収入は、18万7,600豪ドル(約
1,163万円)、支出は13万5,800豪ドル(約842万円)で、差し引きの現金収支は5
万1,800豪ドル(約321万円)と推計される。当該現金収支から家族労働費、減価償
却費などの固定費を差引いた経営収支は、平均9,100豪ドル(約56万円)となり前
年のマイナス4,400豪ドル(マイナス約26万円)の倍に達している。当該年度は、
肉牛販売価格が各生体市場で高値記録を更新し続け新聞紙上をにぎわしており、調
査によると前年比約9%上昇するとの予測が報告されている。

 一方、対照的なのは酪農経営で、98/99、99/2000年度の経営収支で見ると4,855
豪ドル(約30万円)、7,350豪ドル(約46万円)と黒字経営であったが、2000/01年
度にはマイナス9,000豪ドル(マイナス約56万円)の赤字へと転落すると予測され
ている。これには、昨年7月に行われた酪農乳業改革により飲用向け乳価の生産者
販売価格が落ち込んだことが大きく影響を及ぼしているとされ、酪農経営にとって
は、厳しい年になっている。

 なお、この経営収支には、酪農乳業構造調整計画(DSAP)に基づいた補償金
(1戸当たり14,400豪ドル(約89万円)は含まれていない。ABAREでは、酪農
家ごとに状況は異なるとしながらも、改革に伴う飲用向け乳価の下落による収入減
は、この補償金で補われるものとみている。


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