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南米の口蹄疫に係る衛生ステータスに大きな変更



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 6月7日発】5月27日から6月1日まで
パリの国際獣疫事務局(OIE)本部で第69回年次総会が開催され、南米における
口蹄疫の清浄国、地域が変更された。これは、南米地域としての取り組みが円滑に
進まなかったことなどが災いし、2000年に入って口蹄疫が複数の国で発生したため
である。

 南米の口蹄疫に関する認定結果はおおむね以下のようである。@口蹄疫発生でウ
ルグアイとアルゼンチンのワクチン不接種清浄国の認定留保(清浄国リストからは
削除されていない)A昨年認定されたブラジルの1連邦地区と南・中西部5州に続
き、東部畜産圏を形成するマットグロッソドスル、トカンチンス、リオデジャネイ
ロ、エスピリトサント、バイア、セルジーペの各州がワクチン接種清浄地域に認定。
南部畜産圏を形成するリオグランデドスルとサンタカタリナの2州は前者での口蹄
疫発生でワクチン接種清浄地域の認定が留保された。

 アルゼンチンでの口蹄疫発生に関連し、防疫体制が問われたパラグアイがワクチ
ン接種清浄国の認定を維持している。

 96年以来清浄国だったウルグアイや、昨年清浄国に認定されたばかりのアルゼン
チンが認定を留保された反面、ブラジルでは牛の約8割が飼養されている地域がワ
クチン接種清浄地域となり、今後のブラジル産牛肉の動向が注目される。

  以下、南米主要国の口蹄疫の現況。
(アルゼンチン)
 パンパを中心に963件の発生、牛約1万頭が罹患(りかん・5月26日現在)、収
束の見込みはない。南部パタゴニア地域(南緯42度以南)以外の全牛群へのワクチ
ン接種(1回目)が継続され、7月中旬に終了予定。5月中旬、防疫の緩衝地帯と
されていた北部パタゴニアに口蹄疫が確認され、家畜移動制限措置が強化された。
6月に米国が同国産の生鮮肉、煮沸肉、塩蔵肉などの輸入を中止、輸出再開には発
生終了から最低1年の期間が必要とされる。牛肉輸出量の減少は顕著で、2001年1
〜4月の累計(製品ベース)は、ヒルトン枠5,400トン、生鮮肉約3万1千トンで
前年同期比約40%の減少。

(ウルグアイ)
 収束の見込みなし。1,158件の発生、牛のみ約1万2千頭が罹患(5月30日現在)。
6月上旬までに全牛群へのワクチン接種(1回目)が終了予定。この接種が終了し
て1ヵ月後にEUが骨なし牛肉の輸入を再開すると報道されている。

(ブラジル)
 現時点での発生は、ウルグアイと国境を接するリオグランデドスル州に限られて
いるが、収束の見込みはない。11件の発生(5月24日現在)。同州の全牛群へのワ
クチン接種および殺処分が併用され、約650頭が殺処分対象となっている。口蹄疫
の血清型は、昨年8月アルゼンチンで見られたA24の可能性が高い。EUは同国か
らの食肉輸入中止をリオグランデドスル州に限定する方向。サンタカタリナ州産豚
肉の大口市場のロシアと貿易再開を交渉中である。


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