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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 6月13日発】アルゼンチン農牧水産食 糧庁(SAGPyA)がとりまとめた報告書によると、2000年の生乳生産量は、前 年比7.1%減の960万キロリットル(暫定値)となった。 同国の生乳生産量は、施設の近代化や加工処理能力の拡大などを背景に、92年以 降一貫して前年を上回って推移し、99年の生産量は1,000万キロリットルに達した。 しかし、生乳生産の増加が続いて供給が過剰となったことから、99年に生乳価格が 急落し、収益の悪化を嫌った酪農家が、相次いで廃業するケースが増加した。SA GPyAでは、2000年の生乳生産量が減少に転じたのは離農の増加によるところが 大きいとみている。また、現金収入の減少により穀類などの補助飼料の利用が低下 したことや、同年11、12月の降雨量が例年に比べ少なく、牧草の量や質が低下した ことなども要因として挙げている。 2001年の生乳生産動向について、SAGPyAでは、春季(9〜11月)において は、降雨量が比較的多いと予想されることから牧草の生育状態が良好となり生産量 の増加が見込まれるとしている。しかし、1〜4月における主要乳業メーカー17社 の生乳取扱数量(全国の生乳生産量の約60〜65%に相当。)が、前年同期比6.7% 減の176万キロリットルであった。このため、2001年の生乳生産量は、前年比5.2% 減の910万キロリットルと予測している。1〜4月の減少要因としては、夏季の記 録的な猛暑により経産牛1頭当たりの乳量が減少したことや、同国パンパ地域で口 蹄疫が発生したため、口蹄疫の感染牛や感染の疑われた牛を生産ラインから外した ことにより酪農家1戸当たりの乳量が低下したことなどを挙げている。 また、同国の主要酪農地域であるサンタフェ州の生乳価格(乳業メーカーによる 生乳1リットル当たりの生産者支払価格)の推移を見ると、99年に前年比20.0%安 の14.3セント(約17円:1ドル=122円)と大幅に下落し、2000年も14.6セント (約18円)と低水準で推移した。 月別に見ると、99年9月から2000年2月までは13.0セント(約16円)で推移してい るが、SAGPyAによると、この価格は生産コストとほぼ等しい水準とされる。 また、2000年7月の生乳価格は、16.0セント(約20円)まで上昇したが、10〜12月 では、国内の景気低迷や輸出量の減少による影響で、14セント(約17円)台で推移 したため、酪農セクターに新たな危機を招いたとしている。 2000年における牛乳・乳製品の輸出量については、前年比19.4%減の17万4千ト ン(製品重量ベース。ただし、牛乳は粉乳換算ベース)となった。減少要因として は、乳業メーカーが、生乳生産量の減少による原料不足から国内市場のシェアを失 わないため、輸出市場への供給を手控えたことや、全輸出量の約7割を占めるブラ ジル向けが、自国の生乳生産量の増加などにより、前年比24.9%と大幅に減少した ことなどが挙られている。SAGPyAでは、ブラジル向け輸出が減少する一方、 アルジェリア、メキシコ、キューバなど新興市場向けのシュア拡大に期待が寄せら れるとしているが、アルゼンチンの国内需要が比較的堅調に推移する中、同国が輸 出を拡大するには、生乳生産量を少なくとも1,000万キロリットルに保つことが条 件となるとみている。
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