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【ワシントン駐在員 樋口 英俊 3月1日発】米農務省(USDA)は2月28 日、昨年実施された全体投票の結果を受け、USDAが豚肉チェックオフ制度の廃 止の方針を打ち出したことを不服として、全米豚肉生産者協議会(NPPC)およ びミシガン州豚肉生産者協会などが提訴していた訴訟問題で、USDAと原告側が 同制度の継続で和解に達したことを明らかにした。 この和解では、USDAから豚肉チェックオフ制度自体の実施主体である全米豚 肉ボード(NPB)に対して、今後3ヵ月以内に、@最高経営責任者(CEO)お よび最高財務責任者(CFO)を含む同団体独自の経営スタッフを雇用すること、 A販売促進、研究および消費者への情報提供事業について、個別の契約を締結する こと、BNPPCと別の事務所を設けること、CNPPCとは別の情報伝達を行う こと、などの条件が課されている。 USDAは、こうした改革を要求した理由について、NPB発足以降、豚肉チェ ックオフ制度に基づく事業の主たる実施団体であるNPPCへの依存度が増加した 結果、NPBの事業提案などに対するNPPCの影響力が過度に強まっていること や、NPBの説明責任が弱められていることを挙げている。USDAは、一連の改 革により、小規模独立養豚生産者のNPBやその事業へのアクセスが改善され、こ れらの生産者のニーズを満たす方向に進むことを期待している。 NPPCはUSDAの和解発表を受けて、これに対する支持を改めて表明すると ともに、和解の条件であるNPBとNPPCの明確な区分を設ける必要性から、N PPCがこれまで担ってきた同制度に基づく事業の全般的な実施団体としての役割 を改め、立法や規制に関連した政策問題を活動の中心に据えることを明らかにした。 一方、豚肉チェックオフ制度を企業養豚のみに利するものとして、その廃止を支 持してきた議員や団体は、今回の発表に対して一斉に反発している。一部の団体は 投票の有効性を求めて、USDAに対する訴訟を検討しているほか、ミネソタ州選 出のウェルストン上院議員(民主党)は「民主的な投票の意思や独立した養豚生産 者の声を無視したもので、ブッシュ政権が企業養豚や巨大アグリビジネスをいかに 取り扱うかということを示した好例である」と批判した。 グリックマン前農務長官によって同制度廃止が決定されていたにもかかわらず、 今回それを覆す決定をするに至った経緯について、USDAは、当該決定を見直し た結果、全体投票が根拠法に反して、養豚生産者などの15%以上の請願に基づいて 行われていないため、投票結果は参考に過ぎず、拘束力を有しないこと、同制度の 廃止には、同制度が根拠法の目的を実現していないことを明確にする必要があるが、 テキサスA&M大学の調査では、チェックオフ1ドル(約116円)につき、5ドル (約580円)以上の利益を生産者にもたらしているとの試算もあることから、そう した結論を下せないことなどを挙げている。 なお、USDAでは、2003年6月までに全体投票の有資格者に対して、全体投票 実施の意思を確認する予定で、その15%以上の要請があれば、1年以内に投票を実 施し、豚肉チェックオフ制度の存廃を問うとしている。
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